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2025-10-21

国旗損壊表現の自由

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.nikkei.com/article/DGXZQOUA209Z90Q5A021C2000000/

日本国旗を対象にした損壊行為刑事罰対象とする国旗損壊罪を制定する方針が、自民党維新の会との連立合意書に明記された。高市自民党総裁としては従前から何度も法案を出してきた悲願の一つでもあり、今の日本において最も早期に行うべき施策の一つと考えているということだろう。その認識自体まりにばかばかしいが、普段創作表現の自由を声高に叫ぶ一部ブクマカ達に安易賛同されている様子で、その変わらぬ権威主義にほっとしたので少し反対意見を書いておきたい。なお、増田確認した時点で人気コメント趨勢違憲可能性を指摘するもの多数派であり、その意味でははてな全体ではまだ正気は保たれているようなので、別にこんなものを書く必要もないが、まあ、必要ものを書くなどという意義のある行為匿名ダイアリーなすべき仕事ではないだろう。

まず、高市氏が従前からしつこく主張を続ける、自国旗と他国旗との扱いの差だが、他国国章への損壊行為犯罪として定められているのは、他国への侮辱を防止することによる外交の円滑や国際的安全性保護などが目的とされており、自国旗にはこのような目的が成り立たないことが当然である以上、むしろ差を設けない方が不自然であると言えるだろう。なお、外国国章損壊罪適用については、条文上、訴追に当該国の請求を要するとされているだけでなく、「国章」の解釈について公的に掲げられたもの限定され、私的な所有物等は対象外とする等、慎重な運用を行うべきと解するのが学説の通説的見解とさており、実務上も事件化には慎重な姿勢が取られているようである

国旗国民統合象徴であるとともに、国家権力象徴ともみなされており、往々にして政治的デモ活動において、破壊行為対象となりがちであることは言を俟たないだろう。その視覚効果はあまりに雄弁であるデモ行為を野蛮なものや、「左翼」がやるようなものとして、自分と切り離している人間であっても、自国政府が例えば全体主義的な政治弾圧活動を行動を行いだし、自身も立ち上がらないといけないときが来た時に、抗議の意思国旗を燃やすという形でやるという考え自体がおよそ理解できないということはないのではないだろうか。この点で、国旗への損壊行為への処罰が、「表現」への規制ではない、国家への批判行為の委縮効果を持たない、というのはおためごかしに過ぎないことは理解できるだろうと思われる(まあ、とは書いたが、「国旗を傷つける必要はない」「むしろ国民のために立ちがるのであれば国旗を掲げるべき」というような反論をして満足する人も実際には多いだろう。する必要がない表現であれば刑事罰による規制をしていいのかは考えてほしいものではあるが。)。

これに対し、欧州各国等、先進国も含めた多くの国で自国旗の損壊処罰されていることを根拠に、問題がないという理解をしていると思われるコメントがいくつか見られるが、それぞれの国において当該行為処罰対象とすることにはそれぞれの国の歴史、経緯があるものと思われ、日本に当てはめる根拠とするのであれば、その必要性を別に議論するべきだろう。性的表現について規制をするのであれば科学エビデンスを出せという言論がよくもてはやされるが、その理屈を借りれば、日本において自国旗の損壊行為処罰すべき立法事実存在するのであれば、その「科学エビデンス」を上げるべきである日本人の名誉感情が当然害されるのだからそれでいいというのであれば、非実在児童ポルノ一般人性的羞恥心を著しく害し、性道徳を乱すのは当然であるので刑事罰対象としてもいいという暴論と変わらないだろう。まして、「外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試み」た日本歴史を振り返れば、他国比較しても、国粋主義的な高まり批判するための自由が確保されることに、やり過ぎということはあり得ないのではないだろうか。なお、他国国章損壊罪に該当する規制明治時代から存在していたようであるが、これに対応する自国旗への損壊刑事罰は当時から存在していなかったようである

言論多様性はそれが保障されなければ消えてしまうかもしれない少数派、反体制派に対してこそ与えられるべきものであり、体制象徴である日本国旗を損壊する行為への規制は、そのような行為に出たくなる気持ち理解できない人であればこそより慎重に必要性を検討するべきものである。それを犠牲にして、一時的な国粋的な感情や、あるいは、「左派」を懲らしめてやったという感情を満足させておきながら、表現の自由重要性を恥ずかしげもなく掲げ続けるというのは私には理解できないところではある。

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