端的に言うと、「洗う」の「う」は、昔の日本語ではワ行の音として扱われていたためです。
## A Special Rule for Verbs Ending in 「う」
まず、現代語のルールとして、「う」で終わる五段活用動詞を「~ない」の形にするときは、「う」を「わ」に変えるという決まりがあります。
• 言う → 言わない
• 使う → 使わない
• 思う → 思わない
「洗う」もこのルールに従っているわけですが、なぜこのような特別なルールがあるのかがご質問のポイントですね。
## The DeeperReason: A Relic of OldJapanese 📜
昔の日本語(歴史的仮名遣い)では、これらの動詞は「う」ではなく「ふ」で書かれていました。
• 洗う → 洗ふ (arafu)
• 言う → 言ふ (ifu)
• 使う → 使ふ (tsukafu)
これはハ行(ha, hi, fu, he,ho)の活用をする動詞でした。動詞を「~ない」の形にするとき、活用ルールに従って語尾をア段の音に変える必要がありました。
ハ行のア段は「は (ha)」ですよね。そのため、昔はこう活用していました。
• 洗ふ (arafu) → 洗はず (arahazu) or 洗はない (arahanai)
• 言ふ (ifu) → 言はず (ihazu) or 言はない (ihanai)
その後、時代が下るにつれて、言葉の途中にある「は(ha)」の音が、発音しやすいように「わ(wa)」の音へと変化していきました。
変化のまとめ
1. 昔の形: 洗ふ (arafu)
2. 昔の否定形: 洗はない (arahanai)
そして、辞書に載っている基本の形も、洗ふ(fu) の発音が 洗う(u) へと変化し、現代の書き方になりました。
このように、「洗わない」の「わ」は、元をたどればハ行の「は」であり、その発音が変化して残ったものなのです。
はい、その通りです。「遊んでる」という言葉において、「遊ぶ」が「遊ん」に変化しているのは動詞の活用の一環です。
1. 「遊んでる」の元の形
まず、「遊んでる」は「遊んでいる」の話し言葉(口語)での省略形です。
2. 「遊んでいる」の成り立ち
「遊んでいる」は、動詞「遊ぶ」と、補助動詞「いる」がくっついた形です。動詞を接続するため、「遊ぶ」は「て形」と呼ばれる形に活用(変化)しています。
3. 「遊ぶ」の「て形」への活用
動詞「遊ぶ」の「て形」は「遊んで」となります。 この「遊ぶ」→「遊んで」という変化が、ご質問の核心部分です。
この活用は「音便(おんびん)」と呼ばれる、発音しやすくするための特殊な音の変化です。具体的には「撥音便(はつおんびん)」と言います。
1. 遊ぶ (asobu) の連用形「遊び (asobi)」に接続助詞「て (te)」がつく。 → asobi + te
2.発音しやすくするために「bi」の音が「ん (n)」に変化する。(これが撥音便) → ason + te
3. 前の音が「ん」になった影響で、後ろの「て (te)」が濁って「で (de)」に変化する(連濁)。 → 遊んで (asonde)
このルールは、「~ぶ」「~む」「~ぬ」で終わる五段活用の動詞に共通しています。
他の例:
• 読む (yomu) → 読んで (yonde)
•死ぬ (shinu) → 死んで (shinde)
• 呼ぶ (yobu) → 呼んで (yonde)
まとめ
「遊んでる」の「遊ん」の部分は、動詞「遊ぶ」が「~ている」の形に接続するために活用(音便)した結果です。文法的に正しい変化と言えます。