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2025-10-02

2XXX年、日本は「はてな」に支配されていた。全国民はてなIDが強制的に発行され、はてなのサービスを日々利用することが義務化されている。首都東京から京都に移り、古都の町並みに無数のデータセンターモニタリングタワーが林立していた。

はてなブックマークは国民的な監視装置に変貌し、誰が何をブクマたかがすべて記録され、思想や嗜好までもが「スコア」として可視化された。ホッテントリは単なる人気記事ではなく、政令に等しい影響力を持つ。人々の行動規範はそこから読み取られ、翌日の通達に組み込まれた。

若い男、増田は夜更けのネットカフェの個室で端末を覗き込んでいた。

彼のはてなIDには赤い警告が表示されている。理由は単純だった。――セルフスターのつけすぎ。

国家は「人気コメントに見せかける行為」を公共秩序の撹乱とみなし、違反点数を蓄積した者には「獲得スター剥奪」、「プラベ送り」や「垢BAN」が科されるのだ。

増田は手を震わせながら、今日ホッテントリ確認する。

首都京都にて、新たな“スター配給制度”導入」

見出しの下には数千のブクマが並び、スターの数は天井知らずに増えていた。スターはもはや貨幣代替物として流通しており、日常生活に不可欠だ。スターを持たぬ者は食事も住居も失う。

増田の残高は、わずか十スター

「このままじゃ……ログアウトすらできない」

彼は囁いた。

そのとき個室のドアが小さくノックされた。入ってきたのは同じく灰色パーカーを着た少女増田子だった。

増田、まだ逃げられるうちに決断して。地下に“旧ネット”へつながる回線が残ってる」

ネット――はてな統制前のインターネット。そこでは匿名性が保たれ、ブクマスター存在しない。噂では、そこに潜った人々が独自自由圏を築いているという。

だが、それは国家反逆に等しい行為だった。

増田子、そんなの見つかったら即削除やぞ」

「それでも……今のまま、スターの残量に怯えて生きるのは、もういや」

増田モニターを見つめた。人気エントリの数値は刻一刻と更新され、アルゴリズム無慈悲に次の秩序を構築していく。スターが零になれば、彼の存在は“社会からの除名”として抹消される。

外では警備ドローン巡回し、違反ブクマカを探知していた。

増田子が小さな紙切れを差し出す。

「これが地下の接続コードはてな監視されない唯一の手段

増田はその紙を握りしめ、深く息を吐いた。

かつて、はてブは遊びだった。

好きな記事を保存し、気軽にコメントをつけ、仲間と笑い合う。

しかし今、それは国家の基盤そのものに変わり果てていた。

――どちらを選ぶのか。

秩序に従ってスターを乞い続けるか。

それとも旧ネットに潜り、二度と日の当たらぬ“匿名”に生きるか。

増田は立ち上がった。外の空気は冷たく、京都の塔群が月光に光っていた。

増田子……俺は――」

言葉はまだ続かなかった。

だがその決断が、後に「はてブ解放戦線」と呼ばれる運動の始まりとなることを、この時代の誰一人、まだ知らなかった。

Permalink |記事への反応(0) | 09:36

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