朝、目覚ましが30回鳴ったところで飛び起きる。
いつもなら歯磨きを忘れ、鍵をどこかに置き、通勤電車の時間を勘違いして焦りながらホームを走る。
人に言わせれば「そろそろ何とかしないと」と自分を責める材料は山ほどある。
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仕事の手順を紙に書き出すだけで、見落としが激減した。
あの煩わしかった「何を次にやるんだっけ?」という心のノイズが、ふっと消える瞬間がある。
まるで目の前の霧が晴れて、一歩ずつ確かに足を進められるような感覚だ。
「これまでの私は、まるでシャワーを浴びたまま服を着ているみたいに、常に何かが抜けていた」
でも今は、濡れた背中をぽんとタオルで包んでもらったように、安心できる。
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私は驚いて、「そんなこと言われたの初めて」と笑った。
数十キロ先の誰かに私のことを覚えてもらえるなんて、まるで夢のようだ。
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以前なら、見ただけで息苦しさを感じたはずだ。
今は、1行ずつ丁寧に消していくたびに、「できた」という手応えが心地よい。
消し跡が増えるほどに、私の世界は少しずつ整っていく。
夜、窓の外を見上げると、街の灯りがやさしく揺れていた。
その瞬間、私はこう考える。
「ADHDの私にも、静かな夜明け前の静けさが訪れるのだ」と。
今はこのまま、書き出しと消し込みを繰り返しながら、
いまはただ、一歩ずつ進むだけでいいのだ――そう感じさせてくれる、私なりの「生きやすさ」がここにある。