私が家庭の諸事情で現在休業中(このまま廃業になるかもしれないけど…)の兼業漫画家。
アプリでの連載経験もある一応の元漫画家として、サイコミの「キズとも」連載中止について思うところを書いてみる。
配信アプリでのR18表現、特に未成年のエロ表現は本当に厳しい。
アウトと判断されたら一発BAN、場合によっては復活すらしない可能性がある。
企業として、一作品(ましてや決して大人気とは言えない作品)の表現のために大損害を被るわけにはいかない。
編集部も(かなり広範囲で雑な(黒塗りで連載継続の妥協案を提示していたようだが、作者の主張と折り合わず、結果的に連載停止に至った様だ。
これは仕方のないことだと思う。
アプリの配信基準が実質的に企業による表現規制になっている、という事実については思うところがないわけではない。
でも、現状がそうなっている以上、仕方がないとも思う。
アプリは未成年でもダウンロード可能だし、プラットフォームとしての責任は重い。
個人的な意見を言えば、小学生の性行為がモロに描写されている作品を、
一旦は「そのままイケる」と判断した編集部と作者には、正直どうかと思う。
最初からR18の漫画雑誌や、自主配信で発信すべきだったのではないか?
安易に連載可能だと判断した編集部、過激な表現にストップをかけなかった担当編集には責任があると思う。
編集部に振り回されて規制された(と主張している)漫画家にも、正直責任がないとは思わない。
仮にそのまま連載を続けてサイコミアプリがBANされて復活もできないとなれば、
その危険性について、何か思うところはなかったのか?「自分の表現」を追求するのは構わない。
だが、そのせいで無関係な漫画家の作品や、彼ら彼女らの生活にまで影響を及ぼすことを本当に考慮しなかったのだろうか?
仮にこんなアウトラインを完全に踏み越えた作品のせいで、自分の連載が中断となったら正直困る。すげー困るし作者を滅茶苦茶恨むと思う。
こちらだって生活がかかっているし、生活がかかっていたからこそ、家庭の諸事情で漫画家としての活動が中々難しくなっているのだ。
恐らく現在サイコミで連載している漫画家は、内心胸を撫で下ろしているのではなかろうか。
アウトラインを完全に越えようとした作品にストップがかかった、それだけの話だと思う。
にも関わらず、作者が表現の規制問題や、自身の性被害を漫画にしたのにその場を奪われたという
フェミニズム的被害者論を主張し、「政治」や「社会問題」のテーブルに乗せようとしているのは甚だ残念だ。
表現の自由だと声を上げることはルールを決める側に対する監視の目になるからいいことなんだけど、 表現することには誰も文句言ってなくて、それを公共の場で見える状態で置くこと...