2025/07/23に「日本の対米自動車関税を15%にする」との首脳合意が発表されたはずだが、8月下旬時点でも実施時期が明示されず、現場は依然として27.5%で通関している。
対照的にEUは米国と共同声明を出し、適用の考え方や“重ね掛けなし”を文面で確認した、と整理されている。
「合意はしたが効いていない」期間が生じ、日本側に日割りで無視できないコストが積み上がっている可能性が高い。
足元1か月で約560〜650億円の“効いていない”コスト差が積み上がった可能性。実際の負担帰着は米輸入側の納付、日本側の値引き吸収等に配分されるが、総量としては無視できない。
成果と呼ぶには、文書化、官報反映、施行日確定、遡及の有無整理、事後検証までセットで必要である。今は過程にとどまる。
日割りで十億円単位が流出する“時間”はコストであり、可視化し抑制すべき対象である。
それは競争力の毀損であり、他地域の競合に対する機会損失である。
1)合意内容の文書公開。日本語と英語の双方で条文相当の記述を示す。
2)施行日を確定し、輸入通関実務に効く形で周知。税番・品目範囲のFAQも即時整備。
3)EU並みの整理がなされるまでの間、輸出者・輸入者の資金繰り悪化を抑える暫定措置を検討。
4)遡及適用の可否を明示。不可なら不可の理由と影響試算を公表。
「合意」は出た。しかし「効いていない」期間が長いほど、日割りの機会損失は膨らむ。石破政権の対米外交が本当に成果と言えるかは、文書化と施行の速度で判定される。問いは単純だ。いつから、何に、どう効くのか、である。