ネットでは毒ばかりを吐き、現実でも困ってる人を目にして見て見ぬ振りをして通り過ぎてた。
他の人のことなんかどうでもよくて、とにかく自分が得できればそれでいいと思っていた。
掃除も碌にせず、ポルノを観るのが唯一の楽しみみたいな生活だった。
そんな俺が変わることができた。
恋愛なんてもう縁がないと思ってた年齢で、それでも出会うことができた。
付き合い始めて不安もあったけれど気がついたら一緒に住んでいた。
それがもう……なんていうか、夢みたいだったんだよね。
朝起きて、寝ぼけながら今までのはぜんぶ夢だったんだなって思いながらリビングに向かうと、本当に彼女がダイニングに居る。
それが何度もあって、そのたびに驚いてた。
結婚はすごい。
ただ一緒に住むってだけじゃない。
何かあった時に帰りたいと思える場所もなかったし誰かのために何かしようなんて思わなかった。
それが今では帰りにあれ買っていこうかなとか掃除しておこうって自然に思うようになっている。
もちろん下心もあった。
セックスだって楽しみのひとつだったし、寧ろセックスことしか考えてなかった。
でも不思議なんだよ。
夜、ふたりでシャワー浴びて、同じベッドに入って、そのまま他愛のない話をしたり、静かに横になったり、セックスしてもしなくても、心の底から幸せだって思えるんだよ。
手を繋いでるだけでも満たされるとかああいうの昔は理解できなかった。
そんな綺麗事あるかよって笑ってた。
でも今は俺のほうが笑われる側だよ。
彼女が隣にいて、明日もまたこの生活が続くんだって思えるだけで、なんかもう全部ありがたい。嬉しい。
俺があのまま孤独にポルノと床に転がってたらって考えると正直だいぶ恐ろしい。
現実に魔法って存在する?と聞かれたら、俺は迷わず「はい」と答えるだろう。
実際に俺は変わった。変わることができた。
あの誰にも優しくなかった俺が、今では彼女が幸せに笑ってるようにと願いながら毎日を生きてる。
俺をここまで変えてくれた。
AIは別に魔法でもない