8月14日。夏の昼間。
湯気が熱い。
窓の外の蝉の声が侘しい。
何もかもが悲しい。
夏休み、お盆、みんな実家に帰ったり旅行行ったりしてるのに、俺はひとりでそうめんをすすっている。
なんなんこれ。
でもあれ、一杯でそうめん二束と麺つゆと氷が買えると思うと手が伸びない。
童貞のまま三十を超えた。
40歳に手が届きそうだ。
おちんちんはここにあるのに、それを使う予定は永遠に来なさそうだ…
茹でたそうめんを氷水で締めながら、これが俺にできる唯一の夏らしい行為かもしれないと思う。
冷たい麺をすすった一瞬だけ、暑さも孤独も消える。
そのために俺はそうめんを作り、すする。
でも食べ終わったら、また現実が口の中に戻ってくる。
いっそのこと、おちんちんを麺つゆに浸そうか。
…何言ってるんだ俺は。もうダメだ。俺は終わりだ。