性差を技術で塗り潰そう、個体差による差別をなくそうという運動は、実のところ平民の中でのみ支持されているようだ。
だから夢物語になるし、平民による革命が理想的な政府を作るという事例ばかりではないのも、統治する個体として優れた人間から支持されていないことの裏付けたりえよう。
幸せを願うだけの人間には幸せは作れないし、誰かを幸せにすることはできない。
皮肉なことに、その資格は生まれながらに備わるかどうか決まるというのが、全人民幸福の願いをのせた技術によってもたらされた、哀れな啓示だった。
そう彼ら彼女らが理解することはないというのが、持たざる者の幸福の限界なのだろうかね。