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2025-07-09

聖女

「ご心配されておられました給食ですが…。本日焼きそばをお代わりされ…全て…完食されておられました…」


迎えに来た園児母親に、佳代は懇切丁寧に報告する。多様で人材流動もままある

幼稚園教諭の中でも、他の追随を許さない佳代の教育に対する真摯姿勢は、園児

保護者の支持を集め、今では年少クラスの学年主任となった。


今日も預かり保育の部屋の明かりが落ちる。連絡帳の重要事項の転記とリスト化を終えた

佳代は、園の裏口を出る。

今日は、大通りに停車している黒いレクサスだと店長からメールがあった。

ドアを開けたところから、90分のコース


運転から後部座席に移った男が、オムツを履いて仰向けになっている。

「う゛あ゛あ゛あ゛~~~~かよせんせ~~お゛っ・・おむつ~~おむつぃ~~い。」

「ユキオくん、おむつたいへんねえ。佳代せんせいみてあげるからね…ほら、ポンポン上にして…おーできた。できたねぇ」

郊外赤ちゃんプレイ専門店ホームページの在籍情報にも記載されない、VIP専用嬢が佳代の副業だった。


夜風がささやかな涼となって街に吹き抜ける頃、赤子になった成功者達の、恍惚ミューズと佳代は化した。

乳いじりに飽き、膝枕にまどろむユキオの開いた口に光る銀歯と、朝の園庭の小さな命のざわめきの中に、

佳代は無限宇宙を見ていた。


月の光がレクサスを出た佳代の肌を白く照らす。街の色は薄まり彼女世界静謐に包まれた。

闇の中で、佳代の魂はまるで星々の間を漂うかのように軽やかに舞い上がる。

昼と夜の境界は消え、すべては一つの祈りの調べとなった。

幼子の奇声も、ホムンクルス達の吐息も、すべてがこの世界神聖な響きを織りなす

その瞬間、彼女人間ではなく、愛と慈悲のケダモノとなった。

それは静かなる神の遣いのように禍々しく、美しく、世界の片隅にその光を灯す。


佳代の祈り永遠に響き続けるだろう。

Permalink |記事への反応(0) | 16:34

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