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■広州在住ユーザーが語る中国EVのリアル

はじめに

BBC日本語記事の現場インタビューで「ガソリン車は高すぎる、貧乏だからEVに乗る」という声が紹介されていた。

https://www.bbc.com/japanese/articles/c0epwe959w4o

中国では昨年、販売された新車の約半数がEVだ。私は広州でBYDドルフィンを日常の足にする利用者であり、EVは家計を守るための選択肢になっている。本稿では、はてなで目立つアンチEV論への反論を、中国生活者の視点で示す。

コスト比較

• 自宅夜間電力は平均0.55元/kWh（約12円）。走行100kmに必要な電力量は15kWhなので8.3元（約175円）で足りる。
• 92号ガソリンは6.97元/L（約140円）。燃費15km/Lのガソリン車が100km走ると46.5元（約970円）。
• オイル交換・タイミングベルト交換が不要となり、年間整備費だけで約3000元（約6.3万円）浮く。

充電インフラの実際

• 公共充電器はアプリで即検索。都市圏では半径3kmに平均6基。
• 0→80%急速充電は30分以内が多数派で、買い物中に完了する。
• 満充電後の滞在には超過料金が科され、充電口の長時間占拠が抑制されている。

中国政府の支援と業界の競争

• 2009年以降、EV産業に累計2310億ドル（約33兆円）が投じられた。
• 競争が過熱する一方で、消費者側には車種多様化と価格低下という恩恵が来ている。
• NIOのバッテリー交換サービスは月728元（約1万5000円）で電池保証と高速交換を提供する。

よくあるアンチEV主張への回答

• 航続距離不安 →都市生活の平均走行距離は1日50km。週1充電で十分だ。
• 発電由来CO₂排出 →広東省の電源構成は再エネ＋原子力が4割を超え、走行当たりの排出量はガソリン車より大幅に低い。
• 充電が面倒 → 自宅で差すだけ。ガソリンスタンドに並ぶこと自体が既に「時代遅れ」と感じる。
• 冬に走らない →北部吉林のタクシー統計で−20℃でも稼働率95%。ヒートポンプ搭載車の航続低下は20%程度。
• バッテリー廃棄 →リサイクル義務化でニッケル・コバルトの回収率は90%以上に達している。

中国文化を知らなくても理解できるポイント

• EVはスマホのように「便利で安い日用品」として定着している。
• エネルギー価格が家計を直撃する社会だからこそ、節約手段としての評価が高い。
• 日本の軽自動車の位置づけを想像すると、生活必需品という感覚が近い。

結論

アンチEVの懸念の多くは数年前の前提か、現状を見誤った誤解に過ぎない。中国ではEVは「環境に良い高級ガジェット」ではなく「節約と利便を両立させる移動手段」である。数字と実体験で語る限り、EVを選ばない理由はほとんど存在しない。

Permalink |記事への反応(3) | 20:57

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