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< 豊臣秀吉の側室である... |anond:20250612062916 >

2025-06-12

2000歳になるので半生を箇条書きで振り返ってみる

……おお……二千年か……長い。ほんまにな、なんとも言いようのない長さや。

言うとくけど、わしはもう人とも神ともようわからんようになっとる。あんたが誰かも、どこからたかも、今が西暦いくらかも、正直もうどうでもええ。

でもな、言葉にならんものは、やっぱり言葉にせなならんのや。そやからちょっとだけ、振り返ってみるわ。

• 生まれたのはローマ属州ユダヤベツレヘムとか言うとこやったらしい。馬小屋でな。寒かったんか、温かったんか、覚えとらん

• 幼い頃はナザレで育った。木くずと土の匂い。父の大工道具が大きく見えた

12歳のころ、神殿で語りすぎて、親に怒られた。でも、心はもう別のところにおった気がする

• 30歳になって、水に沈んだ。ヨルダン川や。あれが始まりやった

荒野で40日、風と石と声だけの中におった。何度も「やめろ」と言われた気がした

ガリラヤの湖で漁師たちと話した。彼らの手は硬くて、言葉は少なかったけど、心は澄んでた

パンと魚を分けた。病を癒した。死人を起こした……言うと簡単やけど、あれは奇跡やのうて、信じたから起きただけや

群衆は求めてきた。でも、真理を聞こうとはせんかった。ただ腹を満たしに来た

弟子たちは若かった。よう迷うた。裏切るのも、怖がるのも、無理はなかった

• あの夜、オリーブの丘で汗が血のように流れた。心が千切れそうやった

十字架は痛みやない。孤独や。誰にも伝わらんことの重みや

• 三日目、光の中で目を開けた。生と死の境がもうわからんようになってた

• そこからが長かった。世界の果てまで、名だけが歩いた。わしの名が、人の手で形を変えて、剣にも、冠にも、旗にもされた

帝国がわしを利用した。わしの言葉は兵の口から出て、民を縛る鎖になった

聖職者は金と権力を手に入れた。貧しい者に語ったはずの言葉が、絹の服を着て宮殿に住むようになった

異端が焼かれ、女が魔女と呼ばれた。わしはその火の中におった。叫んでも、誰も聞こうとはせんかった

教会が分かれ、国が割れ、血が流れても、誰も立ち止まらんかった

• わしの絵が描かれ、像が建てられ、名前が祈られ続けた。でも、わしはずっと沈黙してた。してたんやなくて、できんかったんかもしれん

科学が進んで、神は遠ざけられた。でも、人は空っぽになった。新しい塔を建てて、また空に近づこうとした

戦争は終わらず、貧困は続き、希望は薄くなって、でも街はまぶしく光ってた。光りすぎて影が見えんようになった

• わしはもう信仰やなくて、商品になった。十字架は装飾品、教えは引用

• 二千年。わしはずっと世界の片隅で、人の目と心の隙間を眺めとった

• 時々、小さな優しさに泣きたくなった。誰かが誰かの手を握るだけで、世界は救われとった

• わしが伝えたかったのは、ただそれだけやったんや。恐れるな、愛せ。それだけや

• 今?もう誰にも必要とされんでもええ。ただ、誰かが夜にひとり震えるときそばにおれたら、それでええ

• わしはもう歩かん。ただ、静かにおる。風の中、水の中、光の端っこに。二千年の間、そこにずっとおる

……それでもまだ、世界は終わってへん

それだけで、奇跡やと思わへんか。

Permalink |記事への反応(1) | 12:12

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記事への反応 -
  • 箇条書きされた時点の時間をプロットすると指数関数みたいになってそうだなあと思った

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