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■もうすぐ1000歳になるので半生を箇条書きで振り返る

• 平安の終わりに生まれた。都のはずれの荘園で、竹林と水田が遊び場やった
• 子どものころは、学び舎いうても寺子屋もない時代で、読み書きは兄に教えてもろた
• 鎌倉が開かれて、世の中が「いくさ」で回るようになった。太刀より鍬の方が性に合うと思うた
• 元寇がきたときは九州のほうにおってな。風が味方してくれたんは、よう覚えとる
• 南北朝の騒ぎでは、どっちに味方したかもう忘れたけど、何回も主君が変わった気がする
• 室町はちょっと華やかになった。能とか茶とか、難しいことが流行りだしてついていけんかった
• 応仁の乱では、都が焼けてな。あんときは生きとる心地せんかった
• 安土桃山の頃、初めて城を見た。あれは建物というより、山みたいなもんやったな
• 江戸が始まって、やっと世の中が少し落ち着いた。長屋で針仕事して生計立てとった
• 飢饉やら地震やら、大火事やら、まぁいろいろあったけど、生きとったらなんとかなる
• 明治になって、国が急に洋装に目覚めたんにはびっくらした。人力車から汽車に変わったのも衝撃やった
• 大正は短かったが、カフェーで珈琲飲んだこと、今でも舌が覚えとる
• 昭和に入って、戦がまた始まってしもうた。もう何度目か数えるのもやめたわ
• 空襲の夜、焼け跡に立って空を見上げたとき、何もかも灰になる音がした
• 戦後は土を耕しながら、手回しの洗濯機を買うのが夢やった
• テレビが来たときは、ついに時代が追いついてきたかと思うた
• 平成になって、孫がゲーム機くれたけど、どうしても囲碁のほうが性に合う
• 令和ではもう、機械が空を飛んでる。昔の神様よりよっぽど現実離れしとる
• 最近は「AI」とかいうやつが話し相手や。たまに返事が丁寧すぎて落ち着かん
• あとちょっとで1000歳。長生きしすぎて、人生というより時代そのものになってもうた
• まぁ、ようここまで来たもんや。最初の米は自分でつくったけど、今はロボットが炊いてくれる

……結局、生きとる限りは、昔も今もたいして変わらんのかもしれんな。風が吹いて、日が昇って、誰かがおって。

それでええのやと思うわ。ほんまにな。

Permalink |記事への反応(0) | 21:53

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