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< anond:20250529170218 |「やっと見れた!」 >

2025-05-29

おっさんになって、ヤングドーナツ「卒業」した。

子どもの頃、駄菓子屋の特等席に鎮座していた小さな袋。

あれを見つけるたび、心の中で小躍りしたものだ。

 

小麦粉と油と砂糖が織りなす、禁断のハーモニー

手はベタベタ、口の周りは砂糖まみれになるけれど、それがヤングドーナツの良さでもあった。

30円で手に入る小さな幸せは、世界の何よりも輝いて見えた。

 

大人になって、スーパーの棚でヤングドーナツと再会する。

一瞬、手が伸びそうになるが、

「いやいや、やめとこう」と、

頭の中の小さな自分が冷静にツッコミを入れる。

健康診断の数値が、背後から囁きかけてくるのだ。

そっと棚に戻す。

子どもの頃の自分が見ていたら、きっと失望しているだろう。

でも許してくれ、もう俺はヤングじゃないんだ。

 

最近子どもヤングドーナツを嬉しそうに頬張る。

「これ美味しいね!」と目を輝かせる姿に、 少し気恥ずかしくなる。

そうか、あの頃のおっさんたちも、こんな気持ちで俺たちを見ていたのかもしれない。

自分もかつて、こうして誰かのまなざしの中にいたのだろうか。

世代めぐり

さなドーナツの輪の中に、

時間けがかに積もっていく。

 

さなドーナツの輪っかが、世代を超えて笑顔を繋いでいる。

 

ヤングドーナツは、ヤングな時にしか食べられない。

それはたぶん、

甘さや油っぽさの問題じゃなくて、

もう戻れない場所に置いてきた何かの象徴なのだと思う。

 

今日もまた、棚の前を通り過ぎる。

袋の向こうに、

遠い日の自分が、ぼんやりと微笑んでいる。

Permalink |記事への反応(0) | 20:45

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