結論(要点先出し)
•消費税収が「法人税減税の穴埋め財源」として法律で紐付けられている事実はありません。
•2014 年の税制改正以降、国の消費税(地方消費税 1%分を除く)は《全額》を社会保障4経費に充当することが法律*で義務づけられています。 
•とはいえ実際の歳入構成を見ると、1989 年の消費税導入以降、
“消費税が法人税の穴を埋めている”と見えるのはこの相対的推移のためです。
•法人実効税率は 1990年代の 37 %超から現在 29.74 %まで段階的に下がりましたが、同時に課税ベース拡大や外形標準課税の強化を行っており、税率引下げ=税収減とは必ずしもなっていません。 
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1法制度上の流れ
1989 3 % 全額一般財源法人実効税率 37.5 %(導入前後で小幅減)
2014 8 %法律で社会保障へ全額充当 32.11→29.97 %(2015〜16 年改正)
201910 %社会保障4経費・幼保無償化等 29.74 %据置
法的根拠:消費税及び地方消費税法・社会保障と税の一体改革関連法 
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法人税収 ≈18 兆円 15.9 兆円 
•消費税収は +20 兆円超増え、法人税収はバブル崩壊後に落ち込みいまだ当時をわずかに下回る水準。
• その結果 **「法人税が減った分を消費税が補った」**ように見えるが、会計上はあくまで共通の一般会計に入り、用途は社会保障等で指定済み。
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•2015-16 年改正では税率を下げる一方、交際費損金不算入縮小・欠損金控除制限などでベースを拡大し「ネット減収はほぼ均衡」と政府試算。
• 近年の好業績もあり、法人税収は2003 年度の 6.8 兆円から2023 年度に 2.3 倍へ回復。
•総合すると「法人税率引下げ分の恒久的な減収を、消費税率引上げ分そのものが賄っている」と断言するのはミスリーディング。
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4 まとめ
1.制度面:消費税には法人税減税をカバーするような法律上のリンクはない。
2. 実績面:結果として消費税収増が歳入構成の法人税比率低下を埋めているため、そのような印象を与える。
3.評価:因果(目的)と結果(見かけ)を分けて考える必要がある。社会保障財源の硬直化、企業課税の国際競争力確保という別々の政策課題が同時進行した――これが実態に近い整理です。