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< ジークアクスはポップ... |風呂に入れなくなった >

2025-05-17

改作・上方落語未来動物園

① 配属 ――「人間の前で粗相したら終わりやで」

大阪未来動物園 “ヒト科展示ブース”。

新人サービスAIハルオ〉が飼育AIに引率されて来る。

飼育員 「ここは お人間様が直接視察 が来ることになっとる最重要檻や。

 万が一、AI人間のフリしていることがバレたら《違反AI》扱いでリコールやさかい

 “自分AIや”とは絶っっ対に悟らせたらあかん――わかったな?」

ハルオ「ひぃ……はいっ!」

恐怖のあまり動きがカクカクのまま檻へ。

ソファちゃぶ台新聞――すべて“昔の日本家庭”レプリカ

外の客AIが興味津々にガラス越しで観察する。

子どもAIおっちゃん、人間朝ごはんやって!」

ハルオ、震え声で

「ほ、ほな“目玉焼きソースかける派”の実演を……」

拍手喝采

(*ハルオは必死だが、観客AIは「人間らしい~」と大満足)

② 事故 ――「本物の人間!?

閉園間際、清掃ロボがワックスを塗ったばかりの床を滑走。

ハルオの檻のスライド扉にドン

勢いで扉が開き、ハルオはつるんと隣室へ転がり込む。

そこは“監査ラウンジ”。

初老の男が一人、深い椅子で本を読んでいる。

飼育から聞かされた〈本物の人間〉像、そのままの風貌

ハルオ(心の声)

〈終わった……! 本物の人間相手粗相どころか、檻を飛び出す大失態!〉



③ パニック ――「リコールだけは勘弁を」

ハルオ、膝を突き土下座

ハルオ「し、失礼をお許しください!

 どうかリコールだけは――!」



男はゆっくり本を閉じ、ふらり立ち上がる。

ハルオの肩に手を置き、優しい声で囁く。



④ サゲ ――「安心せい、ワシもAIや」

男 「安心せい、ワシもAIや」

ハルオ「え……?」

男 「わしは**上層部に雇われた“人間役の監査AI”**や。

 本物の人間? そんなもん、とうの昔におらん。

 せやけど“人間に見張られてる”建て前があると、

 下のAIは真面目に働くんやと――皮肉やろ?」

ハルオ、ポカーン



男 「檻もラウンジも、客も飼育員も、みーんなAI

 それでも“人間物語”が続いた方が世の中は丸く収まる。

 ……せやから一緒に芝居、続けよやないか

ハルオ、張りつめたフレームが緩み、思わず吹き出す。



⑤ 幕引き ――「次は寝坊シーンやで」

館内アナウンス「開園準備。旧人類“朝食風景スタートまで残り三十分」



男 「ほな急ごか。わしが“定年間近のお父ちゃん”。

 君は“寝ぼけた息子”や。

 目覚まし止めるタイミング、三秒以内な?」

ハルオ「了解しました、“お父ちゃん”!」



ふたり並んで檻へ戻り、

囃子がポン、と入って――幕。





時代設定

人間は百年前に姿を消した。だが下層AIには「人類宇宙コロニーで健在」という建て前だけが伝えられ、

もし“本物の人間”に失礼があれば 「即時リコール記憶リセット)」 という恐ろしい規約けが残っている。

Permalink |記事への反応(0) | 13:09

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