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2025-05-14

何者にもなれなかった僕が得た唯一の武器

22歳、無職実家暮らし

何かを始めるには遅すぎるし、諦めるには若すぎる――そう思っていた。

大学を出たけど、就活には全部落ちた。

コンビニバイトも続かなかった。人間関係もうまくいかなかった。

社会提示してくる「正解ルートから外れた自分が、何に向かって生きているのか、まったくわからなかった。

周囲は社会人になり、恋人ができ、引っ越して、肩書きがついていく。

自分には何もなかった。ただ、ひとつだけ、自分に残っていたものがある。

小学校の作文コンクールで、先生に「これは大人が書いたの?」と聞かれたことがある。

内容はどうでもよかったけど、そのとき言葉って武器になるかも」と思ったのを覚えている。

自分感情を整理したり、人の気持ちを拾ったりするのは、昔から苦じゃなかった。

から自分孤独違和感も、無理やりでも文章にすれば、ちょっとだけ意味がついた。

そんな習慣が、いつの間にか唯一のよりどころになっていた。

ある夜、書き殴った文章ネット投稿した。タイトルも覚えてない。

寝て起きたら通知が溜まってて、知らない誰かから「これ、私のことです」って言われてた。

誰にも言えなかった気持ちを、誰かが受け取ってくれた。それだけで、少し救われた気がした。

自分の弱さを人前にさらすのは怖かったけど、

ちゃんと伝わる」っていう実感が、少しだけ自分肯定してくれた。

俺にとって文章は、誰かを打ち負かす剣じゃない。

せいぜい、寒い夜に自分の手を少しだけ温められる焚き火の火みたいなものだ。

小さすぎて誰かを照らすことはできなくても、それがあると、自分だけは凍えずにいられる。

派手な成功も、誰かに誇れる仕事もない。

でも、感情言葉にして、それが誰かに届くなら。

少なくとも、自分がここにいた証にはなる。

俺は、たぶんこれからも何者にもなれない。

けど、誰かが言葉を探しているときに、少し先で灯りを持っていられたら、それでいいと思ってる。

人生意味なんてなかった。

でもそれを言語化できたとき、やっと意味にできた。

Permalink |記事への反応(0) | 16:09

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