陰謀論を排すために自らの言説を正しいと信じすぎることこそが、陰謀論的構造と同型である。
この時代に私たちが持つべき姿勢は、「己の正しさを常に疑い続けること」だ。
ジャーナリストの江川紹子氏は、SNSやインターネット上に蔓延する陰謀論やフェイク情報に対し、強い警鐘を鳴らしている。
「それらを放置することは社会にとって重大な危険をもたらす」として、教育の強化、SNSプラットフォームでの情報管理、マスメディアの信頼再構築といった対策を提言している。
この主張の背景には、彼女自身がオウム真理教事件などで実際に“カルトによる洗脳”の危険性を取材してきた経験がある。
ゆえに、陰謀論とカルト的構造の共通点(善悪の単純化、敵の想定、情報の囲い込み)を熟知しているという前提がある。
しかし一方で、彼女の言動自体が「政治的な偏向を含んでいる」と受け取られることも少なくない。
たとえば、故・安倍晋三元首相への強い非難は、陰謀論者からの攻撃と構造的に似ている面もあり、
「陰謀論を批判する者が、自らの偏向に無自覚なとき、批判対象と同じ構造を持ち得る」という指摘は無視できない。
加えて、「教育」や「管理強化」といった方策も、裏返せば「情報統制」や「思想誘導」として機能する恐れがある。
教育は時に“正しい考え方”を押しつけ、SNSの“管理”は選別の網を誰かが握ることになる。
これを“規制ではない”とする根拠もまた、運用者の「正しさ」への盲信に依存している。
江川氏の問題提起には重要な視点が含まれているが、情報の「正しさ」は一義的に決められるものではない。
私たちに求められるのは、自分自身の「正しさ」もまた検証の対象とし続けること。
陰謀論の拡散と同様に、それを否定する言説もまた、絶対視された瞬間に危うさを孕む。
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正論のような顔して流れ出す陰謀論 江川紹子さん「放置はまずい」:朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/AST4Q349BT4QUCVL00RM.html
『正論のような顔して流れ出す陰謀論 江川紹子さん「放置はまずい」:朝日新聞』へのコメント
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.asahi.com/articles/AST4Q349BT4QUCVL00RM.html
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