満員電車に揺られること20年近く。この度、満員電車内で初めて理不尽に絡まれました。
まず事の起こりはドア付近に立っていた所、座席にもたれかかるようにして、私の横に立っていた男性が
急に私に向かって「人のリュックサック叩くんじゃねよ!叩くんじゃねえよ!」と怒鳴ってきたところから始まります。
は??叩く??とは??
私はリュックサックを前に抱えており、しかもこのリュックサックは前に抱えるとずり落ちるので、常に両腕で抱きかかえていないといけないという代物。
この日もホームでリュックを前に移動し、電車に乗ってからずっと手でバッグを抱えているから隣の人のリュックを叩くことは物理的に不可能。
…は??
あまりにもありえないことなので「叩くんじゃねえ!」と言うのが私に向かっての言葉だと言うのもしばらく気づきませんでした。
ただ、この時点では「まぁやばい奴だし、とりあえず聞こえないふりしておこう」と思い、一旦はやり過ごしました。
しかし、隣のやばい奴はこの私の対応で私が反論してこないと判断し、調子に乗ったようで「リュック叩くんじゃねぇ!!叩くんじゃねぇ!!」と全く止める気配なく怒鳴り続けました。
ちらっと確認すると30代スーツ姿の170センチ二重顎メガネ男性。完全に顔がニヤニヤしており、怒っているのではなく怒鳴るのを楽しんでいる。
私は150センチ、45キロ。これは怒っているのではない。自分より弱い人間に嫌がらせをして楽しもうとしているだけである。
「最初は本当にただの偶然で肘が相手の胸に当たってしまったんです。でも相手は無表情で何の反応もないし。あっやっていいんだって思いました。」
…!!私がもし、ここで怒鳴るのを楽しんでいるこいつを無視するという大人の対応をした場合、こいつの認知も歪み、
自分より弱そうな人に満員電車で怒鳴ってストレスを解消するモンスターと化すのでは…!!
その瞬間、私は悟りました。今ここでこいつをモンスター化させない、それが今の私の使命だと。。
無視するのが大人の対応ではない、真の大人は隣人がモンスター化するのを身を挺して止める者だと。。
ただ、電車内で絡まれたこともなく、見知らぬ人との口論経験はない。当然電車で口論したことはない。
とりあえず自分の中で周囲にめちゃくちゃやばい人だと思われないように
(多少やばい人と思われることは諦めました、同じ会社の人がいなかったことを祈るのみ)
あと、いざという時に回避行動を取れるように相手の目と全体から視線を外さない、
(揉めていることを周囲が分かったほうがいざという時の身の安全が確保できそうだったので)
周囲に聞こえるくらいの音量で話すということを決めて反撃することにしました。
〜口論開始〜
「叩くんじゃねぇ!叩くな!叩くな!叩くんじゃ」
「あの、申し訳ないですけど(←これ言っておけばちょっとまともな人感出るかと思った)、
満員電車なので、あなたのリュックを完全に避けることは難しいです」
(叩いていないが、まともな人って当たったかもって感じで話すよね?って感じで最初の切り口は穏やかに話してみた)
「叩くんじゃねぇって言ってんだろ!」
「叩いてません。」(←やってないことはしっかり言おう)
「だから叩くなって言ってんだろ!」
「叩いてません。」(←やってないことはしっかり否定。叩くとかやばい行為やっていると思われるとまともな人感薄れるし)
「だから叩くなっつってんだろ!」
「叩いてないです!」(ここら辺でちょっと声大きくしてみた)
このあたりから遠くの人が振り返り始め、相手の二重顎が周囲の視線にたじろぎ始める。
「だから…」
「叩いてないです!」(メガネから別の言葉が出てこないので、面倒になって遮ってみた)
言葉を遮られたことのダメージか周囲の視線のダメージか急に黙り込む二重顎メガネ。
20秒くらい睨み合い。。急に目を逸らすちょいぽちゃ二重顎メガネ。
二重顎メガネ「…もういいよ」(←小さい声)
しかし!ここで引いてしまったら、こいつへのダメージが少なすぎる!!
私の使命はこいつが金輪際モンスター化しないようにすること!!
こいつを2度と電車内で見知らぬ人を怒鳴ろうなんて思わない真人間にするためには
心を鬼にし、周囲にやばい人と思われることを覚悟で、こちらから攻撃を仕掛けていかねば!
〜ラウンド2〜
「もういいよって何なんですか!あなたから言ってきたのに、どういうことですか!」
「いや…水掛け論になるし…」(二重顎メガネの声が小さくなる。この辺りから助けを求めるように周囲を見渡すようになる)
「水掛け論って!あなたから言いがかりつけてきて水掛け論て何ですか!」
(口論に慣れていないので全然言葉が出てこなくておうむ返しになったのは反省点)
「いや…だからやったやらないって言い合ったって仕方ないし…」
「そっちがやったって言ってきて、言い合ったって仕方ないってどういうことですか!」
ここら辺で「あっこいつだいぶ弱ってるな」って思った。
おそらく安易に私に怒鳴ったことを心の中で後悔しているに違いない。
でも、私がしたかったのは自分より弱い人間を電車内でいたぶって楽しむモンスターを生み出すことを阻止すること…
そのためには、「電車内の小さい人間=絡むと危険」とこの二重顎メガネの脳内に刷り込む必要がある。
よし!最後、頑張るぞ!!
「大体、私が小柄で小さいから怒鳴ってきたんですね!」
(←小柄で小さい人間に絡むのは厄介と思わせたいのでその点を強調してみた)
「は、何言ってるの…」(完全に目を逸らして周囲を見渡す…周囲に無視され足元を見始める)
(普通、本当に叩かれたと思ってたらここで「ちげぇよ!お前が叩いたからだろ!」とか言って反撃すると思うのですが
特に否定もしないでかつ無視もせず、「何言ってんの」とかボソボソ言ってキョロキョロし始めたので本当に自分より弱そうな奴に難癖つけていたぶりたかっただけなんだなと思いました)
「そっちがイヤホンしているから大きい声で話してあげてるんですけど!!」
ちなみに物理的な攻撃に出られると困るのでその後もずっと見続けた。
残された私はめちゃくちゃキレたやばい奴として自分の降車駅まで静かに過ごしました。