プレイしたとき小学生だったせいか、脳が焼かれることはなかった。物語自体が結構難しかったせいでよくわからないことも多かったから、ヨヨがゾラに怒られるところは、むしろゾラのことが嫌いになったくらいだ。そしてカーナの味方はちょっとギャグやおふざけが多くてフニャフニャ過ぎて、サウザーやパルパレオスの方が圧倒的にカッコよく見えていたから、ヨヨがそちらに惹かれるのは自然なことと思えた。味方が全然ヨヨの悲しみに寄り添えていないように見えたので、ビュウと結ばれないことも早いうちから予感していたし受け入れていた。
書き出してみると自分はバハムートラグーンの物語の想定客ではないと自覚していたためか(これはアニメガンダムが全然わからなかった経験をはじめ、よくあることだったのだ)、ビュウを自分の分身として捉えられず、悲劇的な結末にいたる主人公のひとりとして自然に外から眺められていたのだと思う。ヨヨという素敵な女の子を独占できるという感覚をうまく想像できなかったため、幼馴染に裏切られるという感覚にも結局ならなかった。むしろヨヨ関連のビュウの選択肢は、ヨヨの方が立場が上の筈なのに馴れ馴れしくて、ちょっと調子に乗ってるタイプだなと思っていたくらいだ。王女を守る騎士ならなるべく敬語を使えよと思っていたのだ。
私はバハムートラグーンの美しいドット絵の中でも飛び抜けて好きなのがドラグナーヨヨだったせいか、基本的に彼女を悪女と思ったことはない。彼女の幼さや未熟さが多くの人を傷つけてしまったのだなと思っただけだったし、そういう物語は私にとって特に珍しくもなかった。この物語は神竜を中心とした世界の神竜を中心とした物語である以上、本質的には神竜を操る巫女であるヨヨの物語であって、彼女の感情になるべく寄り添おうとして、彼女に感情移入していたのだと思う。そして彼女の物語にとって恋愛的な要素は大きな関わりがあるにしても決定的なものではないと捉えていたのだと思う。また、人は自然神に振り回されるものであって、ゆえに神竜の巫女であるヨヨに周囲が盛大に振り回されるのは、神話のありようとしては何もおかしくなかったのだ。だから結局パルパレオスが死んだのも、どうということはなかった。私はパルパレオスは好きだが、見た目はヨヨやビュウほど好みでなかったし。
私はヨヨとライトアーマーたち4人のユニットが神竜を召喚する様子が好きだったので、それで十分だったのだ。ランサーたちは使わなかった。ゾラのむすこのオレルスはとばっちりだった。