ストリートファイター6をご存じか?
今や世界的に人気の対戦格闘ゲームであり、オンラインでは日々数えきれないほどの戦いが繰り広げられている。
俺もそのプレイヤーの一人で、特に最近はオンライン上で知り合った友人と、ほぼ毎日スト6の対戦を楽しんでいた。
そして先日。カプコンカップ11が開催され、大会の試合を観ながら「やっぱプロは違うな〜」などと感心していたのだが、その中でも特に衝撃を受けたのがリュウ使いのBlaz選手だった。
これまで”リュウはそこまで強くない”と思っていた俺の認識は、完全に覆された。
リュウって意外といけるんじゃね?という単純な考えから、さっそくメインキャラをリュウに変更し、プロのプレイを参考にしながら日々トレモ(トレーニングモード)に籠もるようになった。
そして俺はある重要な技に気付く。
それが波掌撃だ。
この技をガードさせると、相手のDゲージをガリガリ削ることができる。そして相手のDゲージがゼロになると「バーンアウト」という状態になり、一気に不利になる。
つまり、この波掌撃を当て続ければ相手をバーンアウトに追い込んで好き放題できるのだ。
俺は興奮した。
これ、ヤバくね?
そう思ったら、試さずにはいられない。
さっそくオンラインで試し、何度も波掌撃を当ててDゲージを削り、バーンアウトした相手にさらに波掌撃を重ねる。
俺は連勝を重ね、テンションが上がった。無双的。だが、ある日、事件が起こった。
その日もいつものように友人とスト6で対戦していた。
もちろん俺はリュウを選択し、波掌撃戦法をフル活用。相手のDゲージを削りまくってバーンアウトさせ、そこからは波掌撃!波掌撃!ハショーーーゲキ!!!
すると、マイクの向こうから「バンッ!!!!!」という爆音が響いた。
そして次の瞬間、
てめぇええ!!!!!ふざっっけんなよっ!!!!さっきからずっと波掌撃こすりやがって!!!きしょいんじゃぼけぇええええ!!!!!!
という怒号が耳元で響いたのだ。
一瞬、何が起こったのかわからなかった。
え、波掌撃そんなに嫌だった?
正直、驚いた。確かに波掌撃は強い。強いけれど、それはあくまでゲームの仕様であり、俺はルールに則って戦っていただけだ。
その後、対戦は俺の勝利で一方的に終了し、友人は無言でログアウト。それ以降、彼と連絡が取れなくなってしまった。
俺はしばらく呆然とした。
こんなことで?と正直思ったが、改めて振り返ると確かに俺のプレイスタイルはエグかったかもしれない。
波掌撃を何度も連打し、ひたすらDゲージを削り、バーンアウトした相手にさらに波掌撃を重ねる。見方によっては、相手に何もさせずに完封しているようなものだった。
ちょっとやりすぎたかもしれない。それに後悔がないわけではない。しかし、俺はただリュウを使いこなそうとしていただけだった。それが結果的に、友人を失うことになるとは思いもしなかった。
俺は悪くない。
ただ、波掌撃が強過ぎたのだ…
さいとうこうは…なんだっけ?