ある日の夕方、父親がウキウキしながら「隠れた中華料理店を見つけた!きっと穴場だよ!」と言って家族全員で食事しに行った。
微かに残る中華の文字と換気扇の音がなければタヌキに化かされたのだと父を引きずって帰るつもりだった。
あの人はこれをどう見て穴場と思ったのだろうか。
中に入るとなんと内側は全体的にリフォームしており清潔な空間が広がって…いるわけもなく表も裏もひたすら汚くボロかった。
ボロボロの中華服と中華帽をかぶったおじさん1人で切り盛りしているようだった。中華料理店だからそんな格好してるんだろうけど、もう普通の服に買い替えて欲しい。それくらいみすぼらしかった。店の入り口にある椅子には、同じく中華服を着込んだ老婆のマネキンと小型犬のぬいぐるみ。と思ったら生きていた。犬が我々を狂ったように吠え立てた。さっきまで瞬きすらしてなかっただろ!!それを見た老婆(多分おじさんのお母さん)が「こらぁぁ!!!」と犬を怒鳴りつける!!「お客さんの前でやめろよ!!!!!」とさらに声を張り上げるおじさん!!!
綺麗好きの母と弟はいよいよ帰りたがっていたが、父は己の勘を信じて拒否。汚くてうまい店があるという話を聞いたばかりの自分は「もしかしたら本当に美味しいのかも…」と父側に着いた。
この、「もしかしたら本当に美味しいのかも」の言葉に説得され、結局全員で注文した。
ほんとに不味かった。味が薄い、というか、しない。野菜炒めのキャベツは芯まで使う主義らしく、チャーハンはギトギトでベタベタしていた。とにかく不味かった。残すのだけは嫌だと意地を張って、なんとか完食した。
もうかなり前の話なんだけど、いまだに営業している。なんでやっていけるんだろうか。
わいもその経験あったやで 隠れた名店だ!って言われてついて行ったラーメン屋が激まずで家族から総スカン