ADP 4-0
Chapter 1では、持続可能性 (Sustainment) の概念と、その軍事作戦における重要性について説明されています。
持続可能性とは、作戦の成功を確実にするために、部隊に必要なサポート(物資、兵站、人員、医療支援など)を提供すること を指します。
持続可能性は、作戦の自由度を確保し、作戦範囲を拡大し、持久力を高める ために必要不可欠。
持続可能性の効果的な提供は、部隊の即応性 (Readiness)、作戦の有効性、長期的な成功 に影響を与える。
持続可能性は、陸軍の統一陸軍作戦 (UnifiedLand Operations, ULO) の一部として機能。
作戦環境は競争 (Competition)、危機 (Crisis)、紛争 (Conflict)、安定 (Stability) の4つのフェーズに分類され、それぞれのフェーズで異なる持続可能性の要求が発生する。
統合 (Integration) - 持続可能性を作戦全体に統合する。
予測 (Anticipation) - 将来の需要を予測して準備する。
即応性 (Responsiveness) - 変化に対応し、適切な支援を提供する。
単純性 (Simplicity) -効率的な計画と管理を行う。
生存性 (Survivability) -兵站・医療支援などの持続可能性の要素を保護する。
継続性 (Continuity) -支援が途切れないようにする。
即興性 (Improvisation) -予測不能な状況に柔軟に適応する。
兵站 (Logistics) -補給、輸送、整備、インフラ整備など。
人的サービス (Personnel Services) - 人事管理、財務管理、宗教支援、リーガルサポートなど。
医療サービス支援 (Health Service Support) -医療補給、患者処置、医療輸送など。
持続可能性は、軍事作戦の成功を支える重要な要素であり、その計画と実行は 「8つの原則」と「3つの主要要素」 に基づいて行われる。戦場の状況に適応しながら、継続的に支援を提供することが、勝利への鍵となる。
Chapter 2では、持続可能性の3つの主要要素である兵站 (Logistics)、人的サービス (Personnel Services)、医療サービス支援 (Health Service Support) について詳しく説明されています。
それぞれの要素がどのように機能し、軍事作戦の成功に貢献するのかが解説されています。
兵站は、部隊の運用を支えるために物資やサービスを提供する機能 であり、以下の主要分野に分類される。
クラス I: 食料、水
クラス II: 衣類、装備
必要な物資を適切なタイミングで部隊に供給するためのシステム。
陸軍は プッシュ型 (Push) と プル型 (Pull) の2種類の補給方式を使用。
陸上、空中、海上輸送を組み合わせて、兵員・物資を適切な地点に移動させる。
戦術輸送 (Tactical Transportation) と戦略輸送 (Strategic Transportation) に分類。
現場レベルの修理 (Field Maintenance) と拠点レベルの修理 (Depot Maintenance) に分類。
基地建設、橋の架設、道路の補修など、部隊の運用を支える工兵作業。
新たに戦域へ展開する部隊をスムーズに作戦地域に統合するためのプロセス。
人的サービスは、部隊の士気・福祉・法的保護などを提供し、長期的な戦闘持続力を高める。
兵士とその家族の士気向上のための施設やプログラム(娯楽、スポーツ施設、教育プログラムなど)。
医療サービス支援は、兵士の健康を維持し、負傷者の治療・後送を行う ことを目的とする。
戦域病院 (Role 3 & 4) -重症患者の治療と本国送還
持続可能性の3つの主要要素(兵站、人的サービス、医療サービス支援)は、それぞれ異なる役割を持ちながら、統合的に機能することで部隊の戦闘持続力を最大化 する。
兵站は物理的な補給・輸送を担当し、人的サービスは士気や法的支援を提供し、医療支援は兵士の健康と戦闘継続能力を確保する。
これらの要素が適切に機能しなければ、作戦の成功は困難となる。
Chapter 3では、持続可能性がどのように軍事作戦に統合され、実行されるのか について説明されています。
持続可能性の作戦は、戦略・作戦・戦術の各レベルで実施され、部隊の即応性と持続力を確保する役割を果たします。
持続可能性の作戦は、戦略 (Strategic)、作戦 (Operational)、戦術 (Tactical) の3つのレベルで展開される。
国防総省 (DoD) の指揮のもと、持続可能性の全体計画を策定
グローバルな兵站ネットワークの管理(補給拠点、輸送ルートの確保)
例: 戦域への戦略輸送、燃料供給ルートの確保、大規模な装備生産・補給
戦域で持続可能性を確保するために、以下のシステムが活用される。
戦域持続可能性コマンド (Theater SustainmentCommand,TSC): 戦域全体の兵站・補給活動を統括
持続可能性旅団 (SustainmentBrigades):作戦地域内での兵站・輸送・医療支援を管理
戦闘部隊支援大隊 (Combat Sustainment Support Battalions, CSSB):最前線への補給・支援を担当
戦略拠点 (StrategicBase):本国や同盟国の補給基地
戦域持続可能性拠点 (Theater SustainmentBase): 戦域内の主要補給拠点
前進補給拠点 (ForwardLogisticsBase):前線部隊に最も近い補給拠点
戦略輸送 (StrategicLift):海上・航空輸送を使用して戦域に物資を送る
作戦輸送 (Operational Movement): 戦域内の部隊や物資の移動
戦術輸送 (Tactical Resupply):前線部隊への弾薬・燃料・食料の輸送
近年の軍事作戦では、陸・海・空・宇宙・サイバー領域が統合された「多領域作戦 (MDO)」 が重要視されている。
分散型補給 (Distributed Sustainment):兵站拠点を分散し、攻撃に耐えるシステムを構築
自律型輸送 (AutonomousLogistics):無人車両・ドローンを活用した物資輸送
サイバー防御 (Cyber Resilience):兵站ネットワークの防御を強化
持続可能性作戦は、統合戦力 (Joint Force)、多国籍軍 (Multinational Forces)、民間機関と連携して計画・実行 される。
統合兵站システム (JointLogisticsEnterprise, JLEnt) による全体管理
持続可能性司令部 (SustainmentCommand) の調整 による迅速な意思決定
持続可能性は、戦略・作戦・戦術の各レベルで統合的に実施される必要がある。
陸軍は戦域持続可能性システムを活用し、補給・輸送・医療支援を効果的に提供 する。
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