と言っても駅からは車で十分以上かかるし、そもそも車がないと生活が難しいくらいには田舎だが。
因習、というにはあまりにもあっさりとした物で、どちらかと言えばお盆の続き、みたいなものだ。
父方の実家にその習慣があり、当然我が家もそれに参加しているそれは、先祖祭りと言われるものだ。
お盆の半年前、2月15日に行われるそれについて、私が覚えていることは少ない。
確か、親戚一同が集まってお墓を掃除し、お坊さんが読経をする。そのあとは父の実家に集まり、食事をしていたと思う。
ただ、友人に言われて気づいたことがある。そのお墓というのが、ちょっと特殊なのでは、と。
父方の実家のお墓というのが、代々一族が管理している土地にあるのだ。
よくお寺の裏とか、共同墓地とかにあるようなものではなく、小さな公園ぐらいの広さの土地に大きな墓が一つと、小さな墓が二つ。
そこに、一族が全員入る。
そこを掃除し、その場で和尚さんが読経し、軽く説法を解いて、実家に集まる。大広間で食事をして解散になるのだが、ふと、大広間にまるで葬式の時のような祭壇が作られていたような気がする。
思い返せば、そこでも読経をしていた。
誰が?和尚さんが?さっき帰ったんじゃなかった?
上手く思い出せない。
なぜ?障りがあるって、どういうこと?
母から、連絡があった。
来年はうちが当番だから、一度帰ってきて様子を見た方がいいんじゃないか、と。
私はあいまいに答え、結局帰らなかった。
私は帰るべきなのだろうか。