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2025-02-18

anond:20250218173725

初期の時点では音声(アナログデータ)ではなくモールス符号デジタルデータ)だけしか無線で扱うことができなかったのですね

原因は電話線のリピーター(中継器)が直面したように「波形を維持しながら増幅」と「ノイズが増幅されるため影響が大きい」の2点でしょうか?


なぜマルコーニの無線通信は音声(アナログ)ではなくモールス符号デジタルしか扱えなかったのか?

おっしゃる通り、初期の無線通信では音声ではなく、モールス符号デジタルデータ)のみが扱われました。

主な原因として、以下の 2つの技術的な制約 がありました。

「波形を維持しながら増幅する技術線形増幅器)」がなかった

ノイズが増幅されるため影響が大きい」という問題があった

しかし、これらの理由を掘り下げると、より根本的な問題関係しています

ここでは、技術的な視点から「なぜ無線通信では最初モールス符号デジタル)が使われたのか?」を詳しく解説します。

1.無線通信最初に音声が使えなかった理由

(1)送信方式問題:初期の無線は「連続波」ではなく「火花放電波」だった

マルコーニが最初に開発した無線通信は、「火花送信機(SparkGap Transmitter)」 を使用

火花送信機は、電極間に火花飛ばして高電圧パルスを作り、それを無線波として送信する。

しかし、この方式では 「連続的な波」を作ることができず、瞬間的な電磁波パルスしか発生しない。

これは「パルス波」のようなものなので、音声のような滑らかな波(アナログデータ)を扱うのが不可能 だった。

モールス符号ON/OFF)のようなデジタルデータしか送れなかった。

(2) 受信方式問題:音声を正確に復元できる受信機がなかった

初期の無線受信機は 「コヒーラ(Coherer)」という装置 を使っていた。

コヒーラは、電波が届くと金属粉がくっついて回路を閉じるシンプルな仕組み。

この方式では「電波が来たかどうか」しか判定できず、音声のような連続信号復元できなかった。

しかし、音声のような細かい波形を復元する能力がない ため、音声通信には使えなかった。

(3) 増幅技術の未発達:波形を維持しながら増幅できなかった

無線通信で音声を送るには、信号の波形をそのまま維持しながら増幅する技術線形増幅器)が必要

しかし、当時は真空管がまだ発明されておらず、音声を維持しながら増幅する技術がなかった。

📌リレー式(電信)の増幅と違い、アナログ波形の増幅は難しい

モールス符号ON/OFF信号なので、単純なスイッチングで再送可能

音声信号 → 波形の細かい変化を正確に増幅しないと、正しく復元できない

19世紀の増幅技術では、モールス符号のような単純なON/OFF信号の増幅は可能だったが、アナログ信号の増幅は不可能だった。

(4)ノイズの影響が大きかった

音声通信では、ノイズが増幅されると意味が伝わらなくなる。

しかし、モールス符号なら、たとえノイズが混ざっても「短点・長点」さえ判別できれば復元できる。

📌モールス符号ノイズに強い

ノイズが入っても「どの記号か」がわかるので解読できる。

しかし、音声通信では、ノイズが混ざると「元の音が何だったのか」がわからなくなる。

2. どうやって無線で音声通信可能になったのか?

(1)連続波(ContinuousWave,CW)の発明

火花送信機ではなく、アーク送信機や高周波発振器を使い、連続した電波正弦波)を発生させる技術が開発された。

これにより、音声のような滑らかな波形を送信できるようになった。

(2)真空管発明1906年

1906年リー・ド・フォレストLee DeForest)が三極真空管(AudionTube)を発明

真空管を使うと、音声の波形を維持しながら増幅できるようになった。

📌真空管による増幅の実現

入力: ~~~ (小さい音声信号)

増幅: ~~~~~~~~ (大きな音声信号)

これにより、無線で音声を正確に送受信できるようになった。

(3)AM振幅変調)の発明

1906年レジナルド・フェッセンデン(Reginald Fessenden)が、世界初の音声無線通信AM通信)に成功

音声信号を「振幅(強さ)」で変調AM変調)する技術が開発され、ラジオ放送の基礎となった。

📌AM変調の仕組み

搬送波: ~~~~~~~~~~~~

音声信号: --- --- ---

変調波: ~~~--~~--~~--~~~

受信側は、この振幅変化を音声に復元できる。


3. まとめ

✅ 初期の無線通信では、モールス符号デジタルデータ)のみが使われた。

✅ その理由は、「火花送信機」では連続波を作れず、パルス状の信号しか送れなかったため。

✅ また、初期の受信機(コヒーラ)では「信号があるかどうか」しか判別できず、音声を復元できなかった。

さらに、波形を維持しながら増幅する技術が未発達で、音声を正しく伝えられなかった。

1906年真空管発明AM変調技術確立により、無線で音声通信可能になった。

Permalink |記事への反応(1) | 17:50

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