○ご飯
朝:ロールケーキ。昼:そば。海鮮丼。夜:バナナ。ギョニソ。チーズ。キュウリ。わかめ冷奴。納豆。目玉焼き。人参と玉ねぎとシメジの和風スープ。間食:アイス。
○調子
むきゅーはややー。おしごとは、それなりー。
○夕木春央「箱舟」
大正を舞台にしたシリーズ探偵達を抱える作者のノンシリーズ長編で、今作は舞台も現代でかなり色が違う。
廃墟探索に来た元登山サークルの社会人ご一行が自然現象やら何やらで危機的な状況になり、一週間以内に誰か一人の死を持ってしてでないと脱出できない状況に追い込まれる。
生贄にするならその犯人にするのが理想だが…… という流石にゲーム的と形容したくなる舞台設定のフーダニットもの。
今作の魅力はなんと言ってもこんな壊滅的な状況でものらりくらりと推理をし、頭脳労働に勤しむ探偵役の翔太郎だろう。
視点人物である柊一の従兄弟で、他のキャラとは雰囲気が違うと度々語られる超越的な探偵役らしい探偵役。
他のキャラが慌てふためく中でも与えられた証拠を丁寧に吟味し、クローズドサークル化におけるフーダニットを見事に絞っていく。
証拠品とアリバイを駆使した非常にロジカルな推理方法は、名探偵の誤謬や操りに対しても目配せがされており、格好いいキャラクタだった。
パズラー的趣向としてはシンプルな論ではあるものの、ある二択を確定させるために序盤に出て来た瑣末な会話がキーワードになるのも面白い。
ホワイダニットを良い意味で軽んじ、動機の点は犯人を特定した後に問い詰めれば良いという割り切りもステキなところだ。
また謎解き以外の物語的な側面では、相方になる柊一の異性とのロマンス描写を冷めた目線で茶化すのも、また名探偵らしさだろう。
だがしかし、本作の魅力はそのある種凡庸でフィクション的な名探偵らしさのその先、凡百な名探偵達との大きな差が明かされる彼の非常に人間味溢れる振る舞いにある。
会話文として書き下されるわけではないのに、ありありと想像がつき、名探偵としての立場がある種の解体、もしくは再構築を魅せるエピローグは圧巻。
名探偵とはなんなのか? 悩めるミステリ作家達が数多の答えを出してきたこの苦悩に、また一つ大きな大きな解答が提示された。
翔太郎の振る舞いは名探偵らしいか、らしくないのか、僕は非常に名探偵らしいと感じてしまったが、多種多様な反論が想像できるのも面白い。