1年ほど前、近所のクリーニング屋が閉店した。
そのクリーニング店との出会いは、大学生で上京したばかりの頃。
どのクリーニング店が安いか調べている時、そういえばうちの近所にもあったよな?とふと思い出し、料金表を見たら1番安かったのでここに決めた。
当時の私はファッションが好きで、変わった素材の服をよく着ており、どれもそれなりの値段だったため自宅で洗濯するのには不安があった。
しかし、ここのクリーニング店は比較的安いだけでなく、仕上がりも抜群に良かったのだ。
プリーツもしっかり復活し、難しい素材も縮んでいない。
(クリーニング店なら当たり前なのではないか?と思われそうだが、以前他のお店に出した時かなり縮んで返ってきて、ここの技術は本物だと確信した。)
さらに、洗った服のアイロンがけだけするサービスなども行ってくれた。もちろん有料ではあるが、アイロンが苦手な私にはかなり助かった。
大学生の時、ファッションを楽しめたのはこのお店のおかげである。
社会人になって地味な服を着るようになってからも、スーツのクリーニングやワンピースのアイロンがけなどでお世話になっていた。
メガネすっぴんで来店してもすぐ〇〇さんね、と気づいてくれたのが嬉しかった。
ある日、閉店の貼り紙を見た。
都会の建物は入れ替わりが激しい。すぐに取り壊され、新しいものが建てられるけど、前の建物が何だったのか覚えていないから不思議だ。
このクリーニング屋も、その入れ替わりの一つになってしまったのだ。
沢山お世話になったのにお礼のひとつも言えなかった。もちろん、会計のたびにありがとうございましたは言っていたけど…。
すごく勝手だけど、みんな私を置いてどっかいくじゃん、クリーニング屋もそうなんだってすごく寂しくなった。
そして最近、取り壊しが決まったようだ。
鉄骨パイプとビニールが張られ、建物は跡形もなく瓦礫になっていた。
いつもショベルカーが佇んでいる。
そのクリーニング屋は通勤路にあるから、毎朝強制的に目に入るのがつらい。
もうこれ以上私を1人にしないでほしい。寂しい。
自民党に投票しなければ閉店しなかったのに