それは今でも昨日のことのように思い出すことができる数少ない大切な思い出だ。
プロでなくても漫画さえ描ければいい。漫画にかかわれる仕事だったらなんでもいい。
中学生、高校生では自分の取り柄がなく自信を無くし夢をあきらめる瞬間もあった。
それでも、それでも漫画家になりたい。それだけはあきらめなかった。
いや、ただそれしかできなかっただけかもしれない。
大学を卒業し少し時間はかかったが小さな連載を獲得した。しかも自分が好きな雑誌。
周りも喜んだ。ほめてくれた。認められた気がした。
最初は微々たる給料だったが今では漫画を1本でご飯を食べれるようにもなった。
毎日何時間でも給料が安くても好きなことなので余裕で仕事ができる。
一生懸命頑張る。
だが実際には頑張れなかった。
漫画が楽しくなくなったわけではない。
「漫画家になりたい」
叶えてしまった夢が足かせとなった。
どこに向かっているのだろうか。
何になりたいのだろうか。
本当にやりたいことだったのだろうか。
失敗が増えた。
評価されないことも増えた。
自分より絵がうまく売れてる後輩も増えた。
重ねる年齢。
努力の矛先が明確にじゃなくなり頑張れなくなってしまったのだ。
何か賞をとる。年収1000万になる。
心の穴が埋まらない日々が続いた。
頑張れない。目標がない。
打破するためにも夢を叶えたあとの夢の作り方なんて誰も教えてくれない。
このままじゃいけない。身が入らない。
そんなことを忘れ何年もたち、ふと今の夢は何だと自分に問いてみた。
案外スッとでた。何もしていないのに。
歴史に名を残す。これがなぜかしっくり来た。
これだ。これが新しい夢なんだ。これをするために賞をとったり連載を勝ち取るんだ。
見つけるのにずいぶん時間はかかった。
新しいコンセプトをもとにこれから頑張れる。
それを叶えるためにはなんだってする。
歴史に名を残している人を参考に生きる。
そして絶対名を残す。
新しい門出のスタートラインとしてここに残して置きたかったのです。
そして最後まで読んでいただいた方、本当にありがとうございました。
すごい。頑張ってほしい。