日本が最下位とかで話題になっているので、開発援助業界に少し関わっているものとして私見を述べる。
http://www.cgdev.org/cdi-2015/country/JPN
援助(Aid) 11位
貿易(Trade) 26位
移民(Migration) 25位
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20151221-00052675/
ざっと見て思ったのは、「うわあ、これ絶対世界銀行とかOECDは出せないな。」という感じ。金額的には最大のドナーである日本と米国がかなり下に来ているから、こんなの出したら絶対理事会で跳ねられる。日本代表ブチ切れると思うよ。中国とかこの指標の存在すら嫌いそう。
援助額は日本が誇っている分野のはずなのに、27位中11位と振るっていない。これは構造的に小国が有利になるようになっているから。小国は軍事産業の規模が少ないし、援助をガバナンスが優れた国に集中できるし、援助を効果が高いものだけに集中できる。一ドルあたりの効果で見たら、そりゃ小国の方が有利だ。あと、貧困国に集中して援助をしたほうがスコアが高くなるようになっている。現在、後発発展途上国は東アジアにはあまりなく、アフリカに集中しているから、アフリカと歴史的につながりが強いヨーロッパ諸国の方が、極東の日本より、スコアが高くなる。東アジアで比較的貧困が深刻なフィリピンとかは、JICAが抱えているプロジェクトを表にするだけで現状すでにA410枚じゃきかないくらいあるからね。
日本のFinanceのランクが27位中24位なのは、英米的に、もしくは援助機関的に、国内制度が整っているかだけを見て、実績は気にしていないからじゃないかなー。たぶんテロが切実な欧州や米国よりは甘いのだろうけど、そこは国内事情の差異を反映しているだけじゃないかなあ。
Environmentは弱いなと思う。これまさに世界環境の話だから、FinanceやTradeと違って国内事情を言い訳にするわけにもいかないし。海洋資源の乱用とか、熱帯雨林の伐採とか、あぁ、もうおっしゃるとおりです、日本人が世界に迷惑かけてすみません、みたいな感じです。
Trade 26位はちょっとmisleadingだとおもう。EU諸国は内部で貿易障壁撤廃しているからそれだけで有利だよね。EU諸国じゃない先進国ってアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった私たちイギリス系海洋貿易国です!みたいなところだし。日本は日本語だけで非関税障壁高いから、それも順位が悪くなる。ただ、日本には、多少大国の甘えみたいなのはあるとは思う。国内の需要に甘えて、国際基準へのすり合わせを怠っているところは確かにある。
Security 26位は面白い。日本は武器輸出とかしてないし、外交面でもはいいスコアなんだけど、自衛隊を外に送っての援助が全然ないから、スコアがすごく低い。外国の人の見方がわかる。日本が米国に払っている思いやり予算を使った東アジアの安定化への貢献は、世界的には、米国の貢献としてカウントされるんだよねー、とか。ただ、日本はシーレーン保護のために一切負担していないことになっているので、基地負担に耐えている沖縄の人とかが見たら複雑だろうな、とは思う。負担しているのに評価もされないとか辛いなあ。
移民、難民の25位は順当なところじゃないでしょうか。排他的な極東の島国としては。
外からやってきて中を見ずに自分の基準を当てはめて上から目線で指導してくるようなことをするから援助の専門家は現地の人から嫌われる、というのが、現地の人になってしみじみよくわかりました。参考になったのは環境くらいかな。移民がひどいのは知ってたし、ほかはちょっと指標のクオリティが低くて評価がしづらい。