
先日、医学生二人が私の職場を見学に来た。
見学といっても、院内の主だったところを歩いて回る程度だったが、引率していた先生は顔見知りだったので、彼らがどこの大学の学生なのかを聞いた。
すると、外国の医学校で学んでいるという。
講義は英語で行われているそうだ。
私が大学受験をする頃にも、海外の医学部に進学するという選択肢はあった。
当時はロクに調べもしなかったが、学費や生活費がどれほどかかるのかもわからなかったし、結局は一浪の末に国内の医大に滑り込んだので、その話を真剣に考えることはなかった。
卒業後に日本の医師国家試験を受験して資格をとれば、国内で医師として働くことができる様になるということは知っていた。
もちろん、経済的にそういったことが可能であったかはわからないが、あの時その道を選んでいたら、全く別の人生が待っていたのではないかと、今になって思う。
わざわざ日本に戻る必要もなく、学んだ語学――おそらく英語――の力を武器にすれば、アメリカやイギリスなど英語圏の医師資格をとることだってできただろう。
日本の医者の給料が安いことを考えれば、条件の良い国で資格をとって働くという選択もあったのではないか。
あるいは、発展途上国に赴き、その地の医療向上に貢献するという道もあったかもしれない。
どの国の学生がどの程度集まっているのかを聞いておけばよかったと思う。
そうした考えで海外に出ていく人は決して少なくないはずだ。
一方で、日本国内の医学部を出て国内で完結してしまう優秀な人材もまた多いのではないか。
もちろん、海外に出ることが必ずしも良いというわけではない。
だが、視野を広く持つことは大切だ。
残念ながら私は彼らの行く末をこの目で見届けることはできないが、グローバルな世界で活躍する医師として羽ばたいてほしいと願う。
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