例えば仕事へ行く 人と待ち合わせるの場面で 遅刻したりしない(ポケゴーミートアップ除く)
三十分から一時間前にはスタンバイしてる
でも それは凄く苦手で 実行するのにストレスだらけ 病気して仕事辞めて 好きな時間に生活するようになったら
病気をしなくなったから よほど 苦手だったと思う さて 二郎くんはこのバイトを出来るのか? 心配です!

二郎が受けてしまったバイトは掛け子だった。街行く人に「水道どうでしょう?」と声をかけて、相手を笑わせる仕事だ。
笑バイトのリクルーターによれば、この国では公衆の面前で笑ってはいけないが、笑わせてはいけないという法律はなく、
笑わせる側が法律に引っかかることはないそうだ。リクルーターは、世間で言われているような極悪感は皆無で、ソフトで知的な語り口だった。
だが、いざ仕事を受けてみると、無視され続けている自分にはこの仕事がどれほど難しいかを痛感する。第一声すら出てこない。
二郎は、穏やかな顔立ちの優しそうな女性を見つけ、オズオズと声をかけた。
「水道どうでしょう?」
足を止めた女性は、言われたことにびっくりして、少し困惑した表情を浮かべる。
「え?」
二郎はさらに焦って繰り返した。
「水道、どうでしょう?」
女性は少し首をかしげながら、明らかに困った表情を浮かべる。
「あの…水土どうでしょうか?ですか?」
彼女は、これを下手くそなナンパだと勘違いし、二郎の顔をちらりと見た。アレ? まさかのイケメン?でも、何だか変なこと言ってるし…と、心の中で戸惑っていた。
だが、テンパってしまっている二郎には、そんなことは考える余裕もない。笑わせなければと必死に言葉を続ける。
「共同水道どうでしょう?」
女性はますます困惑し、言葉が意味不明すぎて、焦って必死な二郎を見て、「うーん…」と考え込む。女性は顔を引きつらせ、後ずさりながら言った。
「…えっと、今日土水土って何日にも渡るんですか?」
二郎はもう訳がわからない。どうしても笑わせたかったが、全然うまくいかない。
「無駄だな…」と呟く二郎。その瞬間、女性は怖くなったのか、走って逃げてしまった。
結局、何を言っても反応がない。みんなスマホを見ながら歩き、無視して通り過ぎていくだけだ。
二郎は肩をすくめ、もう一度声をかける。
「水道どうでしょう?」
…やっぱり、何も変わらない。無視、無視、無視。