7日(日本時間8日)
ダイナモ・バレーボールアリーナ・スポーツ・コンプレックス:露モスクワ
◇ WBA暫定世界スーパーフェザー級タイトルマッチ ◇
暫定王者
アルベルト・バティルガジエフ
(26=露:11戦全勝8KO/東京五輪フェザー級金メダル)
vs
挑戦者15位
ネリ・クルス・ロメロ
(36=亜:18戦全勝10KO)
サウスポーの王者バティルガジエフは、昨年7月の決定戦で ジョノ・キャロル(アイルランド)に 9ラウンドTKO勝ちして暫定王座を獲得、それ以来となるタイトル初防衛戦。
IBFとWBOのラテン王座の獲得歴があるロメロは、昨年11月に同国人のホセ・ロドルフォ・ガルシアを 3ラウンドTKOして以来となるリングで、世界タイトル初挑戦。
結果は バティルガジエフが 3-0( 116-108、115-109、113-110 )の判定勝ち。
[ 動画サイトでフルラウンドの映像を見つけて観戦 ]
スタートから大降りパンチで突進するロメロに、バティルガジエフが軽快なステップワーク&右ジャブからのカウンターで応じる立ち上がり。
3ラウンド開始から40秒、下がりながら対処するバティルガジエフに強引な左右で肉薄していたロメロの左フックがかすめるように当たり、横向きになった王者が手と膝を着くダウン。
再開後ロメロは一気にラッシュ、バティルガジエフは打ち合って凌ごうとするもバックステップで下がったところを圧し込まれてバランスを崩し、ロープ伝いに大きく後退すると持ち堪えられずに尻餅を着いて 2度目のダウン。
すぐに立ち上がる反面ダメージはかなりありそうで、絶好のKOチャンスのロメロは再々開後も荒々しく猛攻、しかし焦りのためリキみ過ぎ&大振りに拍車がかかり、あと一発が当たらず。
それでも猛追する中でロメロが右ストレートを決めると、バティルガジエフは大きく後ろにたたらを踏んでガックリ腰を落とし、あわや3度目のダウン=KO負けの大ピンチ。
その窮地を何とか乗りきったバティルガジエフは、続く4ラウンドはスタートから先に前進してムキになって連打するも、クリンチに行ったロメロがつんのめって倒れ込んだところにパンチを見舞い、減点1。
引き続き積極的に行くバティルガジエフに、勢いが止まって被弾の増えたロメロがまたのめって再びスリップダウン、しかしその再開直後、王者が右フックをヒットすると、引き倒された格好ながらも挑戦者が前屈みに崩れ、今度は正真正銘のダウン。
5ラウンド以降は、バティルガジエフが攻勢をキープしつつ乱戦から立て直しを図る一方、ロメロは打ち疲れ&ダメージで 3ラウンドのような勢いはなく、時おり強振打で応じる展開に。
大ピンチに追い込まれたバティルガジエフは無理はせず、接近戦主体の流れの中で時々序盤のようなフットワーク&ジャブのスタイルに戻すなどの戦術でペースを維持、とはいえそれでもダメージは少なからず引きずっている感じで、9ラウンドにはロメロに左フックや圧し返しのプレスにヨロめくシーンも。
結局、ダウン応酬の前半戦以降は大きなヤマ場のないままフルラウンズを終え、試合終了。
一先ず、バティルガジエフのユナニマス勝利の採点は問題なし、ですが…
この先トップを狙う前提からしたら相当に危うい内容で、暫定とはいえ早くにタイトルを獲ったことのマイナス面=キャリア不足が顕になった印象。
押すようなパンチの打ち方とか、他にも気になる部分が幾つかあるのに加え、今日の試合でどうやら打たれ弱そう&耐久力に問題がありそうという新たなウィークポイントを露呈し、今後それをカバーして一線に立てるのか、個人的にはちょっとどうなのかな~ なイメージ。
それはともかく、WBAからレギュラー王者 レイモント・ローチJr.(米)との対戦を義務付けられているバティルガジエフにとり、先ず第一課題となるのはこの団体内統一戦な訳ですが…
ローチJr. はその後、 WBAからバティルガジエフ戦の先送りする特別承認を得て WBAライト級王者 ジェルボンテ “タンク” デービス(米)への挑戦が決定、今月1日(日本時間2日)に試合を行って予想外の健闘の末にドロー。
特別承認については、当時の情報によると認可するのはこれ一度限り&ローチJr. がデービスに勝った場合、5日以内にスーパーフェザーかライトかどちらの王座を保持して行くかを決め、敗れた場合は120日以内にバティルガジエフと対戦する、という条件がつけられていたものの…
引き分け=おそらくダイレクトリッチの流れになる筈、と推測すると、バティルガジエフが次戦でローチJr. と対戦する可能性は殆どないんじゃ?な感。
デービス vs ローチJr. の大方の予想はタンクの勝利=ドローなどほぼ誰も思ってもみなかった筈で、自分もローチJr. 敗退→ 次戦でバティルガジエフとやるものと普通に考えていた一人につき…
この件をWBAがどう措置するのか、それなりに関心はアリ。
( 地獄、ならぬWBAの沙汰も金しだい、だろうなと察しはつきますが )
ついでながら、個人的な採点は 115-109 バティルガジエフでした。