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ボクシング・ダイアローグ

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3月13日:東京・両国国技館

 

◇ WBA&WBC世界フライ級王座統一戦 ◇

 

WBA王者

ユーリ阿久井政悟

(29=倉敷守安:21勝11KO2敗1分)

vs

WBC王者

寺地拳四朗

(33=BMB:24勝15KO1敗)

 

昨年10月、タナンチャイ・チャルンバック(タイ)に判定勝ちして以来のリングとなる阿久井選手は、2団体統一戦と同時にWBAタイトル 3度目の防衛戦。

 

寺地選手も昨年10月、クリストファー・ロサレス(ニカラグア)との王座決定戦に11ラウンドTKO勝ちで戴冠&2階級制覇を達成して以来となり、同じく統一戦と共にWBCタイトル初防衛戦。

 

[日本人同士による世界タイトル統一戦は、12年6月の 井岡一翔 vs八重樫東=WBA&WBCミニマム級、22年11月の 寺地拳四朗 vs 京口紘人=WBA&WBCライトフライ級に続いて国内3度目]

 

結果は 寺地選手が 12ラウンド 1:31 TKO勝ち、2団体の王座統一と共にWBCタイトル初防衛。

 

[結果を知らない状態で一晩やり過ごし、動画サイトでフルラウンドの映像を見つけて生中継感覚で観戦]

 

ジャブで牽制して見合う慎重な立ち上がりから徐々に阿久井選手がプレスを強め、両者が細かいヒットを決めると同時に決められる展開。

 

3、4ラウンドあたりから阿久井選手が的中数で上回り始めた感を強め、明白な差はつかないながらもやや優位に進めている印象、寺地選手もしっかり打ち返してはいるものの中盤戦に入って以降は圧されていると映るシーンも少なくなく、ペースは大まかに阿久井選手が握ったような状態に。

 

6、7ラウンドあたりになると、ここまでの中間距離主体から接近戦主体に流れが変わり始め、フィジカル&メンタルの強さが問われる消耗戦へ。

 

阿久井選手のプレッシャーに対し、寺地選手は 8、9ラウンドを境にジャブからの立て直しやサークリング駆使で戦術を調整、しかしどうしても下がらされているように見えてしまう部分も少なからずで、引き続き厳しい状況。

 

ポイントを意識したか、終盤戦に差し掛かると寺地選手が手数を増やして攻勢をアップ、両者まともなクリーンヒットは殆どない中で、WBC王者がジワジワと追い上げ。

 

そして迎えた最終12ラウンド半ば、右ストレートを決めた寺地選手がそれを起点にラッシュして左右の連打をまとめると、動きの鈍った阿久井選手にレフェリーが早いタイミングで割って入り、ストップを宣告して試合終了。

 

内容的には、大きなヤマ場はない、似たような展開が繰り返される我慢比べの試合となりましたが…

 

一言で言って、勝敗を分けたのは世界王者としてのキャリア/経験値の差だったのでは、という個人的感想。

 

概ね、前半から中盤は阿久井選手がリードし、後半から終盤にかけて寺地選手が盛り返す流れでしたが、11ラウンドまで 2-1(105-104×2 阿久井、106-103 寺地)で負けていた寺地選手がラストラウンドのスパートで一気にTKOに持って行ったのは、たまたまラッキーだったのではなく、勝負強さの証明だった筈。

 

ハードな根比べを制して 2団体を統一した寺地選手は試合後、4団体統一を目指すと宣言するのかと思いきや、1クラス上げてWBCスーパーフライ級王者 ジェシー “バム” ロドリゲス(米/帝拳)や WBA同級王者 井岡一翔(志成)選手との対戦希望を明言。

 

年齢的理由=もうそれほど長くはない筈の現役の残り時間は、対戦者を吟味してビッグマッチ限定で行きたい… という訳ですが、バムにしろ井岡選手にしろ、実現するならこれはぜひ観たいカードです。

 

敗れた阿久井選手は、報道によると寺地選手とは19年4月から昨年1月まで4度、約20ラウンドのスパーリングで手合わせしていたとのことで、それをベースにした研究の成果がハッキリと見て取れ、終盤戦に入るあたりまでは勝ちムードもかなり濃く漂っていた感じでしたが…

 

最後の最後にダメージング・ブローをもらってしまい、一気に仕留められてしまった形。

 

レフェリーストップのタイミングの部分は、効いてはいたにしろ止められる直前もボディワークで後続打に反応していたので、率直に言ってかなり早かったように見えましたが、試合後に阿久井選手は「打たれていたからしょうがない。異論はない」、守安会長も「ちょっと早いと思ったが、本人がそう言うなら。効いていたと言っているし、仕方ない」と不満なく受け入れるコメント。

 

昔に比べ、最近は健康面&リング禍防止の観点からレフェリー/ドクターストップが大幅に早くなっていることもあり、止めるタイミングが難しいケースも少なくなくありませんけど…

 

この試合については、その点が後々に尾を引くことはなさそうで、そこはひと安心。

 

阿久井選手は、暫くの間は家族との時間を第一に、今後についてはじっくり考えて決めるとのことですが、まだまだ一線を張れる筈だけに、出来るなら再起の選択を決断してほしいところです。


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