Movatterモバイル変換


[0]ホーム

URL:


ホッケー観戦:4 Nations Face-Off でカナダがアメリカに勝って留飲を下げる | 覚え書きあれこれ

覚え書きあれこれ

記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

私はたいてい、このブログに政治関連のテーマで記事を書かないのですが、今回は大好きなプロホッケーが関連しているので例外とします。

 

日本でも知られている通り、アメリカ大統領のトランプ氏は二度目の就任後(まあ一度目でもたいがいでしたが)、本当に呆れるほどの好き勝手でとんでもな発言や行動を繰り返していて、由々しき事態となっています。

 

中でもこれまでアメリカと長い歴史にわたって友好関係を結んできたカナダに対して、あまりにも侮辱的な発言を連発しているだけに、大人しい(これもステレオタイプではありますが)とされるカナダ人もさすがにキレています。

 

 

トランプ大統領:「カナダはアメリカの51番目の州になるべき」

 

 

 

トルードー首相:「そんな可能性は微塵もあり得ない」

 

 

 

そもそもアメリカという大国のリーダーが言ってる時点で「悪質なジョーク」で済まされるレベルではないんですが、一回だけではなく、何回でも繰り返されるともうこれは常軌を逸しています。

 

さらにトランプ政権はカナダからの輸入製品に対する追加関税を25パーセント課す、だのと脅したりして、現在カナダ国内ではアメリカに対する敵対感情が高まっています。

 

それは同時にカナダの自国民の間で愛国心を高める作用もあり、些細なことですが、スーパーや酒店でも「(アメリカ産ではなく)カナダ産を選ぼう」といったキャンペーンが起こっています。

 

 

 

 

「Buy Canada, Bye America」という見出しのこの記事では、同じ「バイ」という発音でカナダ産のものを「買う」と、アメリカに「さようなら」という意味の言葉遊びを用いていますね。

 

まあ私自身、日頃からアメリカやアメリカ人に対して特別な感情を持っていないんですが、選挙制度のある民主主義国では「We have the politicians we deserve=リーダーとなる政治家は(自分らで選んだんだから)自分らに相応しい人」だとすると、トランプ氏を大統領に据えたアメリカ人には疑問を持たざるを得ません。

 

そんな雰囲気の中、今年からNHLプロホッケー・リーグのシーズン真っ最中に新たに設けられた「4Nations Face-Off」という大会が開催されました。

 

 

 

例年2月頃に「中休み」みたいな感じで行われるオールスター・ゲームに変わるイベントで、NHLの選手を輩出している主要四か国(カナダ・アメリカ・フィンランド・スエーデン)の代表チームによって争われるという趣向です。

 

試合は総当たりのトーナメント形式から獲得ポイントの上位2チームが決勝に進む、というもので、昨日の最終試合はカナダ対アメリカが戦うことになりました。

 

****

 

と、ここでちょっと余談:

 

 

私にこのテーマで語らせるとキリがないので、ごく簡単に言いますと、ホッケーはカナダのお家芸という認識がこの国では深く浸透していて、カナダ人にとって大きな国際大会で優勝できないとなるとまるで国全体でお通夜のように落ち込むんですね。

 

いや、全然大袈裟に言ってるわけではなく、本当にそうなんですよ。

 

 

だからこそ2010年の自国開催のバンクーバー五輪でアメリカに決勝で延長戦の末、競り勝った時はとてつもない大騒ぎとなったし、

 

 

「クロスビーのOTゴールで優勝」

この時期にカナダに住んでいた者であれば

必ず覚えているこの名場面

 

 

逆に1998年の長野五輪でメダルを獲り逃した時はカナダ全土でパニックが起こりました。

 

「カナダのホッケー体制を立て直すにはどうしたら良いのか」といったことが真面目に国家レベルでの議題として取り上げられたり、大きなコンベンションが開かれて専門家たちが議論を繰り広げたりしたのでした。

 

その当時はメディアもその話題で持ちっきり、経済や政治なんかよりもよっぽど深刻な問題として認識されていた感じでした。

 

 

まあ要するにそれほどカナダとホッケーというものは切っても切り離せない関係にあるわけで、単なるスポーツの域を超えているんですよね。

 

そこにこの度の四ヶ国対戦です。そして前述のトランプ問題です。

 

政治とスポーツを交えるのは間違い、とか言う人もいますが、過去にもさんざん、そういった事例はあるわけです。昨日の試合では特にカナダ側の選手たちは痛いほど自国の期待を感じていたし、トランプ大統領の非礼に対して自分たちなりの方法でやり返したい、と思っていたに違いありません。

 

 

****

 

 

夜の20時になると、夫はテレビを点け、私も緊張して試合を見る準備を整えました。

 

息子たちがホッケーに従事していた頃は一家でトロントのプロホッケーチームの応援を熱心にしていましたが、最近ではすっかりその習慣がなくなっていたので本当に久しぶりの観戦。

 

 

 

 

ボストンで行われるこの試合は、カナダにとってアウェイ・ゲームです。

 

両国の国歌斉唱があり、カナダ側はシンガーソングライターのChantal Kreviazukが歌いあげました。ちなみに彼女はウィニペグ出身で、祖先がウクライナ系なのだそうです。

 

途中、歌詞がちょっと変わっていたみたいに思ったのですが、どうやら間違いではなく、意図的にクレヴィアズクが変えたと判明。

 

O Canada

Terre de nos aieux

おおカナダ

我が先祖の地よ(ここだけフランス語バージョンでした)

 

True patriot love

In all of us command

真の愛国心を

我々みんなに呼び起こす

 

となるんですが、最後の行を

 

That only us command

我々だけが持つのだ

 

と変えたんですね。

 

「カナダはカナダ人だけのものなんだよ」と言いたかったのでしょう。ここの部分だけを手にマジックで書いて斉唱に挑んだようでした。

 

えらく緊張して声が震えているな、と思ったら、どうりでけっこう大胆なことをしていたんですね。

 

 

(クレヴィアズク自身のインスタグラムより)

 

 

 

まあそこから試合展開はシーソーゲームで、カナダが先取点を奪えばアメリカが取り返す。アメリカが2点目を入れたらカナダが追いつく、という形で2対2の同点でとうとう延長戦を迎えました。
 
それまでシュート数は圧倒的にアメリカの方が多く、勢いもあったように見えました。カナダのゴールキーパーのビニントン選手がまさに守護神のような活躍を見せていなければ、アメリカが早々に勝利を決めていた気がします。
 
 
 
NHL.com より)
 
 
が、8分目をちょっと超えたところで味方のパスを受けたカナダの副キャプテン、リーグ最優秀選手のマクデイビッド選手が見事な弾丸ショットを放ち、アメリカのキーパーのヘレバックの隙を突きます。
 
 

 

FOUR NATIONS SIGNING OFF 🫡

Goodnight, hockey fans.

Hope you enjoyed. We certainly did.#4Nationspic.twitter.com/WMdNN2IWl2

— NHL (@NHL)February 21, 2025

 

 
 
カナダ3,アメリカ2。
 
 

 

Golden goals: Canadian hockey players have a history of coming through in the clutchhttps://t.co/Vqg3oXg2o6

— CBC Sports (@cbcsports)February 21, 2025

 

 
 
もうそこからは狂乱です。
 
 
カナダ中のそこかしこで「ほら見てみいいいいい!!!カナダがアメリカなんかに負けるわけないんじゃあああっ!!!」の声が上がったに違いありません。(それまでけっこう不安だっただけに、よりいっそう感情が爆発)
 
この決勝戦に備えてトランプ大統領はわざわざアメリカ代表チームのGMや選手たちに電話をかけて、またまた「アメリカの51番目の州に勝ってくれることを楽しみにしてる」みたいに煽ってたんですよね。
 
なのでトルードー首相も早速「X」で、「カナダは我々の国、ホッケーは我々のスポーツ、どっちも渡さないぞ」というニュアンスの投稿:
 

 

You can’t take our country — and you can’t take our game.

— Justin Trudeau (@JustinTrudeau)February 21, 2025

 

 
 

とまあ、昨夜は(四大陸選手権のペアFS直前に)カナダ愛が炸裂した私でしたが、なぜかずっと思い浮かぶのは故・夏目雅子さんの『鬼龍院花子の生涯』での名啖呵だったことを最後に記しておきます。

 

 

 

 


[8]ページ先頭

©2009-2025 Movatter.jp