1980年代のイタリアを舞台に、17歳と24歳の青年が織りなすひと夏の情熱的な恋の行方を、美しい風景とともに描いたラブストーリー。アンドレ・アシマンの同名小説を原作に「日の名残り」「眺めのいい部屋」の名匠ジェームズ・アイボリーが脚本を執筆、「胸騒ぎのシチリア」などで知られるルカ・グァダニーノ監督がメガホンをとった。第90回アカデミー賞で作品賞ほか4部門にノミネートされ、アイボリーが脚色賞を受賞した。「インターステラー」「レディ・バード」のティモシー・シャラメと「コードネーム U.N.C.L.E.」「ソーシャル・ネットワーク」のアーミー・ハマーが主人公カップル役で共演。83年、夏。家族に連れられて北イタリアの避暑地にやって来た17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会う。一緒に泳いだり、自転車で街を散策したり、本を読んだり音楽を聴いたりして過ごすうちに、エリオはオリヴァーに特別な思いを抱くようになっていく。ふたりはやがて激しい恋に落ちるが、夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づいてきて……。
2017年製作/132分/PG12/イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合作
映画.comより転載
1983年夏、北イタリアの避暑地、17歳の少年とアメリカからやってきた24歳の青年は限りあるつかの間とわかっていながらも恋に落ちる。
少年の父は大学教授で考古学?映画冒頭では発掘されたギリシャ・ローマ彫刻の写真が様々映し出される。
ギリシャ時代、同性愛は知識人の間ではよくあることで非難されるものではなかった、しかしそれは青年と少年の間に限る、若い時代の一時にのみ許されていたらしい。
まさにこの映画そのもの。
少年は知識階級の息子であり教養・芸術的感性豊か、そして青年は考古学を研究する大学院生。
彼らの間ではそれが許される、そういう背景になっているように思った。
美しい恋する二人はギリシャ彫刻のようにあらねばならぬ、世俗を超越する美しさがないとね、というキャスティング。
観客は8割がた女性だったが、これはゲイ映画というようなものではなく、男女関係なく、今現在、そしてかつての甘く切ない恋を心に秘めている人ならば誰でもが瑞々しい切なさに心掴まれる映画だと思う。
彼らがいつ恋に落ちたのか?
多分、はじめて会った時に。
そして、意識せずとも恋の駆け引き。
映画終盤に思い出させるあのシーン、このシーン、すべてに彼らの思いが込められていた。
二人の間の微妙な体の傾き加減が・・・・う~む、細部までお見事。
恋とは、障害があってなり立つもの、少なくともドラマになるような恋は。
障害が大きいほど燃え上がるもの・・・日本じゃあ、近松の世界か?というような。
今は障害を設定するのはとてもむつかしい時代、もはや不倫では障害にもならない、あとは同性しかない、それで、そういう映画は多いが、切なさだけではダメなんだよね、とこの映画を観ると思う。
ジェイムズ・アイヴォリーが手掛けた脚本がさすが、このタイプの映画の元祖『モーリス』を手掛けた人。
そして、贅沢で瑞々しい映像美を誇るルカ・グァダニーノの格調高い演出が冴えています。
ただですね、ちょっとひねくれた見方をすると、こういう恋って上流階級のインテリ層のもの?という匂いがね・・・・するんです。
グァダニーノ監督は高踏的作風というか・・・それはそれで、良いのですけどね、なんとなく一言いいたいといいますか(苦笑)
庶民のひがみですかね(笑)
終盤、何もかも知っていた父と母、母はそれとわかっていて二人だけの旅をプレゼントする、一人帰ってきた少年に父は人生の先輩として心に深く刻まれるアドバイスをする、それは観客へのメッセージでもあるのだろうが・・・
うーーむ、これって父の経験なのか、後悔なのか?
父は申し分ない教養ある人格者だけれど、選ばなかったものへの思いを残している、そして母もそれが何かをわかっている、そんな気がした。
そして青年からの電話で彼の選んだ人生を知る、それは多分父と同じ。
そしてまた少年の選ぶ人生も同じなのかもしれない。
ルカ・グァダニーニの映画というよりジェームズ・アイヴォリーの思いが勝っている映画だと思うが、映像・音楽はグァダニーニのものでとても美しい。
青年と少年のギリシャ的同性愛、それはお互いに相手に自己を投影している、だから同性でなければならない。
あなたは私、私はあなた。
そしてこの映画のタイトルへ。
公開時Yahoo!映画に投稿した記事を再掲載
この映画ではまだ少年で恋に一途なエリオ(ティモシー・シャラメ)より、もう十分大人で現実の人生の選択を迫られていたオリヴァーの切ない気持に感情移入してしまう。
配信で再鑑賞したが、映画館観賞した時よりも細部の仕組みが・・・・例えば音楽とか、ちょっとした表情、眼差し、言語(英語、イタリア語、フランス語など状況に応じて巧みに使い分けている)、そしてイタリアの自然や街並みが美しい。
再鑑賞してよかったという一作です。
ガールフレンドはイタリア人、もちろん会話はイタリア語。
大胆な水着姿も美しい。