名は体を表す!


 普段やっている“シソンヌ”には大別すると“フェルメ”と“ウヴェール”と云う二種類があります。 “ウーベルト”と云う呼び方をする人も居ますが、これはフランス語の“Ouvert”を英語読みしてしまっただけの読み間違いです。

 “シソンヌ”と云う用語自体には意味はなく、フランス語にもこの言葉はありません。 実は考案者の名前が冠されている動きで主に跳躍のテクニックの事を指します。 シソンヌ伯爵と云う方が考案した動きだと私は聞きました。

 そして“フェルメ”は閉めるで“ウヴェール”は開くの意です。



 さて“シソンヌ”と云う動きがどの様な性質の跳躍なのかを正しく理解出来ている人は余り多くは居ないのでは無いかと思います。 何故ならヴァリアシオン等でアレンジされた動きを見て、それを自己流に解釈して踊っている様がよく見受けられるからです。




 “シソンヌ”とはどの様な動きなのか、“シソンヌフェルメ”と“シソンヌウヴェール”の違いは何かと言うと、先ず“シソンヌ”は両脚で踏み切って開脚する跳躍の事で“フェルメ”は閉脚での着地になり“ウヴェール”は開脚での着地になります。 身体は傾けず垂直を保つのが基本です。


 “シソンヌ”で気を付ける点は第一に出来るだけ高く跳躍する事と移動は二の次であると云う事を意識して、跳躍の最高到達点で確りと開脚ポジションを見せる為に静止する事、そしてその後に“フェルメ”ならば脚を閉じる事を意識してアクセントを付けて着地する事、“ウヴェール”なら着地の直前まで開脚ポジションをキープし続ける事です。
 音楽的にも“フェルメ”は着地に、“ウヴェール”は空中での開脚の瞬間にアクセントが来る様にするので音楽の取り方が正反対になります。

 “シソンヌフェルメ”はその名の通り『閉じる』事を意識して行う事が、“シソンヌウヴェール”は『開く』事を意識するのが大切なのです。



 また開脚は常に両脚を同じ角度にする積りで行わなければなりません。 実際の“シソンヌ”の動きでは左右の脚の開脚度は異なりますが、これは身体を移動させる為に水平方向への力を使った影響です。 垂直方向と水平方向の力が合わさり斜め方向に身体が押し上げられた結果、進行方向側の脚が下がり、反対側が上がるのですが、これは決して踊り手が意識して角度差を調節している訳では無いのです。
 力のベクトルの問題なので身体を水平方向に移動させる力と垂直方向に移動させる力の割合と股関節の可動域により変化します。



 特に第5ポジションに着地する横の“シソンヌフェルメ”は『移動する“シャンジュマンドゥピエ”』とも言える物で移動を伴う事と開脚が“シャンジュマンドゥピエ”より大きい事以外は“シャンジュマンドゥピエ”と全く同じ動きになっています。

 特に大事なのが着地で足が第5ポジションに集まるのと着地が全く同時にならなければ“シソンヌフェルメ”とは言いません。 両脚が同時に着地する事で直ぐに次の跳躍の準備が行えるので“シソンヌフェルメ”を連続で行ったり、他の跳躍と組み合わせての連続跳躍が可能となります。



 “シソンヌ”では空中での開脚が目立ちますが、大きく開脚すると云う事はそれに見合うだけの垂直移動があると云う事で高く跳躍する脚力があるからこそ空中で余裕を持って大きな開脚が出来ます。 もし跳躍力を削って開脚の方に力を割いてしまうと開脚具合に対して低い跳躍となり着地の体勢を整える事が出来ずに着地で次の動きの準備が出来ません。 つまり踊りが途切れるのです。 また観客からは『落下した』とも見られてしまいます。 『跳躍』した筈なのに『落下』と見られたら失敗ですから、折角大きな『開脚ジャンプ』をしても本末転倒になるのです。



 ですから『開脚』と『跳躍』のバランスがとても大事なのです。 常にバランスの取れた踊りが出来る様に考えて訓練しましょうね。







https://ameblo.jp/hidecchi-1967/entry-12687291933.html


https://www.ballet-arts.jp/


https://ballet.mermo72.com/