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恭子による驚きの発言

「おい、恭子、何するんだ!」

そう言ったが、彼女は何も言わない。しばらくしごき続けるのである。このままだと勃起してしまいそうだが、僕とはエロいことをしないと宣言しているだけに勃起しないようこちらは大相撲の小錦の姿を想像して勃起を抑えようとする。すると恭子は驚きの発言をする。

「おい、ニノミヤ、早く勃起しろ。私は上手なのになんだよ、お前」

何が何やら分からない。恭子は恐らくステディな関係の彼氏がいるだろう。その上で僕と一緒にゼミ室の寝袋で同衾している。本当に意味不明の展開なのだが、こちらとしては「勃起したら負け」という感覚のため、なんとしても勃起をしないように頑張った。

勃起というものは、精神力でなんとかなるものではなく、本能に従うものだと思ったのだが、この時は精神力が勝り、恭子のフィンガーテクに僕の抑制力が勝ち、5分ほどの攻防で僕が勝ったのである。

本当に何が何やら分からなかったのだが、この直後、恭子はグースカ寝始め、僕の「勃起したら負け」勝負は終了。恭子とは本当はエロをしたかったのだが、あれだけ「お前とはヤらん」と言われたからにはヤるわけにはいかない。「ヘビの生殺し」という言葉があるが、まさにこの時の僕がそうだった。だが、僕はヘビとは違い、生き残ったのである。

あれ以来恭子とは何度か飲み、卒業以来会ってはいない。だが、一体彼女はあの晩何を考えていたのか。あれから長い時間が経った今、聞いてみたい気持ちもある。

Text/中川淳一郎

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