こんばんは。三条まなびぷれ~すです。
百人一首の解説は3つの本を参考にしています。『ドラえもんの国語おもしろ攻略百人一首で楽しもう』と『まんが百人一首大辞典』と『マンガでわかる10才までに覚えたい百人一首』です。
心にも あらでうき世に ながらへば
恋しかるべき 夜半の月かな
三条院の歌です。
心ならずも、この辛くはかない世の中で生き長らえてしまったなら、きっと恋しく思い出されるのだろう、この夜中の月が、という意味です。
月の歌ですね。
作者の三条院は、第67代天皇です。1011年、36歳で即位し、在位したのはわずか5年でした。
藤原道長の圧力により、天皇の位を退くことを決めたときに詠んだ歌です。
天皇が退けば4歳である道長の孫が天皇になり、政治の実権は道長のものになりました。
三条院は、二度も内裏が火事になり、目が見えなくなる病という問題を抱えていました。
そんな不幸が続き、退位を迫られ失意の中でふと見上げた夜空に輝く月に慰められ、これから目が見えなくなろうとも今宵の月だけは美しく思い出されるだろう(これから長く生きていれば、この時をなつかしく思い返すこともあるだろう)と詠いました。
「心にも あらで」は心ならずも、本心に反して、という意味です。
「うき世」は浮世(はかない世)、憂き世とも書きますが、この場合は辛い世のことを言います。
「ながらへば」は生き長らえていたなら、と言う意味ですが、三条院は退位した次の年に亡くなりました。
一方、退位をせまった藤原道長は、同じような時期に次のような歌を残しました。
「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」
この世は自分のための世の中だ。満月の欠けたところがないように。すべて自分の思うとおりになる世の中だと、権力を手につかんだ強い歌ですね。
「月」というのは、見る人の心を映し出す鏡のようなものですね。そして、その感情を歌にしたとき、「月」は明るくもあり、悲しくもあります。
たった一つの月をいろんな人がいろんな場所からいろんな気持ちで眺めている、時代を超えても同じように存在する魔法のような存在です。
今宵の月は、皆さんのどんな心を映し出しているでしょうか。
※Instagramやってます →sanjo202404 で検索してください。
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