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先日のニュース「教員養成課程:「6年」確認*1」が気になったので、「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について(答申(案))*2」を読んでみました。
文科省が出している「概要*3」が最もシンプルですが、以下、項目をざっくりとまとめてみます。それでも、長いのですけれど。
〈1〉現状と課題
1.これからの社会と学校に期待される役割
↓
教員はこれらに対応できる専門的知識・技能を向上させ、チームとして組織的・効果的な対応を行う必要がある。
2.これからの教員に求められる資質能力
3.取り組むべき課題
↓
教育委員会と大学との連携・協働により、「学び続ける教員」を支援するための改革が必要。
〈2〉改革の方向性
教員養成段階は大学、現職では教育委員会、と教員の教育は分断されている。連携・協働し、「学び続ける教員」を支援する仕組みを構築する。
1.教員養成の方向性
教員養成を修士レベル化し、教員を高度専門職業人とする。
↓
教員の高度専門職業人としての位置付けを確立するため、教員養成を修士レベル化することが必要。
2.教員免許制度の改革の方向性
(1)「一般免許状(仮称)」・「基礎免許状(仮称)」・「専門免許状(仮称)」の各種免許状を創設。#以下(仮称)を省略。
標準的な免許状。〈1〉2.の資質を有し、教科も教職ともに専門的な知識・技能を保証。学部4年にに加え、1〜2年程度の修士レベルの過程での学修。
教職への使命感と教育的愛情を持ち、教科に関する専門的な知識・技能、教職に関する基礎的な知識・技能を保証。学士過程修了レベル。早期に「一般免許状(仮称)」の取得を期待。
教科・教職の特定分野に関して実践を積み重ね、高い専門性を証明。一定の経験年数を有し、大学院レベルでの教育、国または教育委員会と大学との連携による研修により取得。
(2)「一般免許状」と「基礎免許状」との関係
(3)多様な人材の登用
(4)教員免許更新制
〈3〉当面の改善方策
省略。まずは6年制についてのみを。
雑駁に言いますと、
実現のほどは未定。
という答申(案)とのことです。
他にも、教職大学院の重点化(各県1校)などが盛り込まれていました。
とにかく教員はいまのままじゃいけないの! 知識も技能も、現状に対応できていない(だから問題が起きるの)でしょ、と。
キーワードは、"学び続ける教員"なのでしょう。そうでないと変化する社会に対応できないから、大学と教育委員会の連携が必要。それと、チームで課題にあたるコミュニケーション力。いじめ問題などで取り沙汰されるのは、校内での情報共有の甘さです。これは氷山の一角なのでは、と見なされて当然かもしれません。
専修免許状について、読んだ範囲に言及の箇所は見つかりませんでしたけれど、きっと淘汰されてゆくのだろうな、という印象を受けます。実際、私自身文学研究科を経て専修免許状を取得し、教員となっているのですが、修士課程の2年間は教職についての講義を受講せずとも第一種免許状から書き換えることが可能でした。それは、教科に関する知識を有している、とみなすこともできます。けれど上記"初任者"の抱える実践不足を感じましたし、今も感じています。初任者に即戦力になれ、と求めるのは些か無理があるように見えますが、「生徒からすれば、私*4もあなたも先生なんだから(即戦力でありなさい)」と言われたことはずっと忘れられません。現職にある以上、"教員"であらねばならないのだという重圧を感じ続けています。
また、私は文学部に所属しながら教員免許を取得しました。大学は、教育学部の大きい、教育に関する研究開発に力を入れているところでした。同期の他の教員と話していると、それぞれの受けてきた学びが実はかなり違うのではないか、と気付く場面があります。「答申(案)」にも国家試験の導入の議論があったことが言及されていますが、学校によって指導が異なるのが現状であり、課題なのかもしれない、と。これは国家試験を経ていない国家資格すべてに言えることなのかもしれませんが。
「答申(案)」を読んでいて、中教審はいったい教員にどこまで求めるのっ、と腹立たしく思うこともありました。けれど、現行のままの教員養成課程では新指導要領や現在教員の抱えている様々な問題に対応しきれないこともまた事実だろう、と。それは現場での"教員としての経験と勘"を磨くなんて悠長なことを言っている場合ではないのだろう、と頷ける部分も多くありました。
*1:毎日新聞 7/24 東京朝刊:http://mainichi.jp/feature/news/20120724ddm012100059000c.html
*2:「中央教育審議会(第81回) 配付資料」の資料1-1〜3:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/1323733.htm
*3:PDFファイル:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2012/07/24/1323733_2.pdf
*4:彼女は40代でした。
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