笑顔は控えめだった。ヤクルトの一員としてプロの世界に踏み出すことになった村上は、強い覚悟を口にした。
「売りは長打力で広角にも打てる。捕手としては足りない部分がいっぱいある。これからがスタートなのでしっかり練習していきたい」
熊本では秀岳館高の壁が高く、甲子園の出場は1年夏の1度のみ。それでもチームでは1年春から4番に座り、3年間で52本塁打を積み重ねた。身長1メートル87、体重95キロの恵まれた体格から、飛距離のある本塁打を打てるスラッガーは「肥後のベーブ・ルース」の異名も持つ。
ヤクルトにとって早実高・清宮を外した後のいわゆる外れ1位だが、評価の高さは3球団が競合した事実からも明らかだ。巨人、楽天に先んじてくじを引いた小川監督がガッツポーズを見せても、村上は「『1位で来たな』ぐらいの思いだった」と冷静に受け止めていた。