朝の飛行機で東京へ。
まずは品川のソニーで打ち合わせ。近いうちにソニーの中で講演会をしようという話。
ソニーくらい大きいと社内だけで立派なイベントが開催できるんだねえ。私の前に呼ばれた講師が世界的なビッグネームたちで(確証が持てないので名前は非公開)、思わず遠慮しようかと思ったのだけど、そこは説得されてしまった。
で、次に六本木に移動して、午後は楽天技術研究所でのミーティング。
今までのサーベイをもとに今後の方向性について考える。あまり非現実的で実現できないのも困るが、かといって「(誰でも)やればできる」というような、簡単(に見える)ものでも困るということで、悩ましい。
が、方向性は見えてきたかな。
途中はともかく、最終成果はオープンソースにできるように念を押す。好感触である。
あと、楽天名刺ができたので、名実ともに「楽天の中の人」というイメージが強くなった気がする。
最後に「楽天、システム開発拠点を国内主要5都市に分散化へ」というニュースを受けて、このあたりの泥臭いことでもお手伝いできそう、という話になる。
で、この辺で「なぜ私が楽天フェローを引き受けたか」についてちゃんと書いとこうと思う。
とはいえ、最大の理由は「縁」なのだが、より具体的には以下のようなことが理由である。
最初のオファーであった。
楽天は私に対するこの種のオファーの中で最初のものであった。楽天との契約にはある種の排他条項があるので、今後、無制限にフェローを引き受けることはできない(しない)。
私の活動を制限する意図がない
もちろん、東京でのミーティングが発生するのでまったく制限がないわけではないが、基本的に私の最優先事項である「Rubyの開発」を疎外する意図が全くないということを終始明示してくださった。
補完関係が成立した
私が楽天にないもの(プログラミング言語とオープンソースに関する技術と経験、そっち方面での知名度とコネクション)を提供でき、逆に楽天も私にないもの(エンタープライズソフトウェア開発の経験と実績、大規模トラフィックとデータ、ビジネス領域での知名度とコネクション、人材、あと、お金ww)を持っている。協力により相互に利益が得られることが期待できた。
日本から世界へ
私の方はあんまり気にしてないんだけど、楽天としては「国産言語」という点に注目してくださったみたい。私としては尊重してもらえるのはありがたい。
長期間起動したままのRubyプロセスがメモリフラグメンテーションを起こして大量のメモリを消費してしまうことがある、という話。
RubyのメモリアロケータはOSのmallocに頼りっぱなしでフラグメンテーションを回避するような工夫はなにもしていないから、そういうこともありえるかもしれない。ただし、この話には続きがあって、問題はRubyのアロケータのせいというよりもglibcが採用しているptmalloc2に原因があったらしい。
より新しいバージョンであるptmalloc3をリンクしたら、問題は解決したとか。
the amount of good software written in a language is inversely proportional to the elegance of that language.
ある言語で記述される優れたソフトウェアの数は、その言語のエレガントさに反比例する
という仮説。
その根拠はRubyにはDrupalのような良いCMSが見当たらない、というもの。言語デザイナーの努力はなんなの、と思わせるような仮説である。世の中はBASICに戻った方がよいんじゃないの、とか毒をはきそうになるけど、我慢、我慢。
そういえば、Ruby(とRails)で記述されたCMSとかはあんまりたくさんは見かけないよね。少なくともまだ「定番」といえるようなものは登場していない。でも、それはRubyのエレガンスさとは無関係で、みんな、RailsのCRUDで実現できるような「エンタープライズシステム」作成に夢中でCMSに手が回らないからじゃないかぁ。