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LNJ Logo現地レポート:大阪・関西万博 マルタ館でも未払い発覚
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「万博工事未払い問題被害者の会」の会見で明らかに

かわすみかずみ

*写真=万博工事未払い問題被害者の会の2回目の会見。中央がマルタ館の事業者。

6月6日、大阪府庁で、「万博工事未払い問題被害者の会」は2回目の記者会見を開いた。新たに加わったマルタ館、中国館の未払い被害者が実態を暴露。報道関係者10社以上が参加し、その日のうちに報道に載せた。

マルタ館の建設工事に関わった内装工事のI社は、約1億2千万円の未払いを抱えた。元請けのG社は世界的なイベントで多くの実績があった。I社の社長Aさんは「こんな大きな会社と仕事ができるなんてすごい」と喜んでいた。

マルタ館は2024年12月から着工。1番最後に着工したパビリオンとして報道された。G社は仮設物建築のスペシャリストで、世界中で万博やスポーツ大会の仮設物を作ってきた。

12月にはG社、一次下請けのS建設、I社で協議の上で工事が始まったが、協議の場でも平面図2枚しか渡されず、内装もほとんど指示がなかった。 1月末、S建設と3次下請けが撤退。すべての責任がI社にのしかかった。

Aタイプ(建物すべてを自国で建設するタイプ)での建設だったため、G社が外装を作る。内装も同時に行わないと間に合わないと感じ、何度も提案するAさんに対し、G社は「外装が終わるまで入らないでほしい」と拒否。実質的には2月から内装工事に入った。図面も指示もなく、現場で打ち合わせを行い、その場で図面を作る日々。元請けに確認をとって許可が出たことで工事を進めると、後で「色が間違っているから塗り直して」などと言われてやり直しになったこともあったそうだ。

不眠不休で働く

3月頃からは工事を急ぐように言われ、不眠不休で働いた。3月中旬には吉村知事や万博協会が「大丈夫です。間に合わせます」と発言。G社からは以前と違う契約書が送られてきて、期限に遅れたら罰金を払わされるなど、不利な条件が追加された。G社は「この条件を受け入れないなら次の支払いは実行されない」と言ってきたと、Aさんは証言する。G社からは、それまでに追加工事費およそ3千万円の未払いがあった。持ち出しで資材や人件費を賄っている上、工事を途中でやめると従業員らの生活を守れないと感じたAさんは、条件を受け入れざるを得なかった。

Aさんは、G社とのやりとりを録音していた。通訳の女性(外国人)が一方的に伝える内容を理解することも難しく、英語もフランス語も話せないAさんは状況を伝えることさえできなかった。

違法な現場環境

Aさんはそれでも、何とか間に合わせようと働いた。多くの下請け業者にも声をかけてお願いした責任もあった。G社は監視カメラを付けて、労働者が逃げ出したりサボったりしないかチェックしていたという。2月の1番寒い時期からの作業。暖房すらない工事現場で息が白く凍った。

壁を塗る際に、業者が使っている色見本がある。Aさんはマンセル値を使っていたが、そのことが伝わらず、G社はRGBでの色見を要求する。

本来は着工前に打ち合わせを行うべき内容が現場で何回も繰り返され、その度にぐちゃぐちゃになっていった。

Aさんは工事中に、建物の安全性が確保できないような部分を見つけ、「もっと補強しないと建物が崩れますよ」と補強を行ったという。これで仮設物建築許可が出ているのか不思議に思ったという。4月11日に工事を終了した。だが、支払いはない。 Aさんは東京地裁にG社を提訴した。

Aさんは下請け業者にできる限り支払いをしなければと、所有する車まで売った。もうこれ以上出せるものはない。家を売るか、保険金でまかなうか。今も、最悪のことまで考えるという。

企業理念に見殺しにされる中小建設業者

G社について調べていくといろいろなことがわかってきた。G社は2017年頃から日本支社を作っている。当時の取締役のインタビュー記事には、今後5年くらいは日本やアジアを中心に活動するという発言が載っていた(国際ニュース2017)G社は仮設建築物を「経費を抑え、短期間で作る」エコロジカルな建築を推進しているという。安く、短期間でできる仮設建築の陰で、多くの中小建設事業者やひとり親方が過酷な労働や未払いに泣いているのではないか。

真面目に働いた業者が損をする

大手ゼネコンは大屋根リングや大阪ヘルスケアパビリオンなど手堅いところをとったが、海外パビリオンには一切手を出さなかった。それは、こうなることが分かっていたからだろう。

何度も入札が不調になり、建設業者が決まらないパビリオンが続出した。中小建設事業者や電気設備の事業者に、万博協会は「協力してください」とチラシを撒いた。吉村知事が自ら出向いてお願いしたこともあった。

そういう状態を見て、助けようとした中小建設事業者に、工事中もほとんど助けもせず、未払いがあっても「民民の問題に税金を使うのはおかしいと思います」と、国、万博協会、大阪府市は突っぱね続けている。「できるだけ寄り添っていきたい」というが、被害にあった事業者の声は厳しい。

あるパビリオンの建設を請け負った業者は、「大阪府の建築振興課に連絡したら、万博協会の相談窓口を紹介されました。そこに連絡したら、何週間か経ってから『受け付けました』と連絡が来てそれっきりでした」と落胆する。

Aさんは、「今、何ヶ月分かのお金があれば持ちこたえられます。このままでは連鎖倒産が起こり、建設業界自体に影響が出ると思います」と早急な支援を訴える。

アンゴラ館、マルタ館、中国館で未払いにあった下請け業者は150人以上にのぼる。名乗り出ることができない業者などを含めればもっと多くの業者が泣かされているだろう。これを「民民の問題」と言って済ませていいのか? 中小建設業者に手を差し伸べることができるかどうかが、今後の建設業界の分岐点となる。


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