まず、例によって前準備が必要です。
imm何とかという関数が多いですがこれはmput ethod anagerの略です。1.ソースにimm.hをインクルードする2.プロジェクトにimm32.libを参加させる
IMEのON, OFFにはImmSetOpenStatus関数を使います。
hIMCは、入力コンテキストハンドルです。BOOL ImmSetOpenStatus( HIMC hIMC, BOOL fOpen);
fOpenは、オープン状態を示します。TRUEで開き、FALSEで閉じます。
関数が成功したら0以外の数を返し、失敗すると0を返します。
では、hIMCを取得するにはどうしたらよいのでしょうか。これにはImmGetContext関数を用います。
hWndには、入力コンテキストを取得するウィンドウのハンドルを指定します。HIMC ImmGetContext( HWND hWnd );
戻り値は入力コンテキストハンドルです。
さて、この関数を使ったら必ずImmReleaseContext関数でコンテキストハンドルを解放します。
hWndには、ImmGetContext関数で指定したウィンドウハンドルを指定します。BOOL ImmReleaseContext( HWND hWnd, HIMC hIMC );
hIMCは、入力コンテキストハンドルです。
IMEのON, OFF状態を取得するにはImmGetOpenStatus関数を使います。
hIMCは、入力コンテキストハンドルです。BOOL WINAPI ImmGetOpenStatus( HIMC hIMC );
プロパティダイアログなどを表示するにはImmConfigureIME関数を使います。
これで、ダイアログを出します。BOOL ImmConfigureIME( HKL hKL, HWND hWnd, DWORD dwMode, LPVOID lpData );
hKLは、入力ロケール識別子です。hKLを取得するために、筆者はロケール関係の関数をいろいろ調べてみましたがなかなか見つかりませんでした。ヘルプで「入力ロケール識別子」そのものを調べてみると「入力ロケール識別子には音声入力コンバータ、IME、またはその他のあらゆる入力形式が含まれており、キーボードレイアウトよりも広い概念を持ちます。」とあります。それで、キーボード関係の関数を調べてみるとGetKeyboardLayout関数というのがありました。IMEとは関係なさそうな関数ですが、入力ロケールを取得するにはよさそうです。(後述)
さて、続きですがhWndは、ダイアログの親ウィンドウのハンドルを指定します。
dwModeは、次の中から1つを選びます。
IME_CONFIG_GENERAL | プロパティダイアログボックス |
IME_CONFIG_REGISTERWORD | 単語登録用ダイアログボックス |
IME_CONFIG_SELECTDICTIONARY | 辞書選択用ダイアログボックス |
lpDataは、dwModeが単語登録用ダイアログの時のみ意味があります。この時REGISTERWORD 構造体のアドレスを指定します。
REGISTERWORD構造体は次のように定義されています。
lpReadingには、読み方を指定します。typedef struct tagREGISTERWORD { LPTSTR lpReading; LPTSTR lpWord; } REGISTERWORD, *PREGISTERWORD;
lpWordには、登録する語句を指定します。
不要であればどちらもNULLを指定することができます。
では、プログラムを見てみましょう。
元になるものはメモ帳みたいなプログラムで、クライアント領域全体にエディットコントロールを張り付けてあります。IMEをON, OFFするにはエスケープキーを押します。IMEがONの時でIMEに対してエスケープキーが意味のあるとき(変換文字列を取り消すときなど)はこれを優先します。
また、メニューの「オプション」からIMEのプロパティダイアログボックスを出せるようにします。さらに、エディットコントロールに選択文字列(黒く反転させた文字列)がある時にメニューから「単語登録」を選択すると反転させた文字列を登録することができるようにします。
単なるメニューのリソース・スクリプトです。// ime01.rcの一部///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// Menu//MYMENU MENU DISCARDABLE BEGIN POPUP "ファイル(&F)" BEGIN MENUITEM "終了(&X)...", IDM_END END POPUP "オプション(&O)" BEGIN MENUITEM "IME設定(&D)...", IDM_IMEDLG MENUITEM "単語登録(&R)...", IDM_REGIST ENDEND
imm.hをインクルードするのを忘れないでください。また、imm32.libをプロジェクトに参加させるのも忘れないでください。// ime01.cpp#ifndef STRICT #define STRICT#endif#define ID_EDIT 100#include <windows.h>#include <imm.h>#include "resource.h"LRESULT CALLBACK WndProc(HWND, UINT, WPARAM, LPARAM);LRESULT CALLBACK NewEditProc(HWND, UINT, WPARAM, LPARAM);ATOM InitApp(HINSTANCE);BOOL InitInstance(HINSTANCE, int);char szClassName[] = "ime01"; //ウィンドウクラスWNDPROC OrgEditProc; //元々のエディットコントロールのプロシージャ
エディットコントロールにエスケープキーが押されたことを知るためにこれをサブクラス化します。もともとのプロシージャを保存するためのグローバル変数も用意しておきます。サブクラス化については第36章を参照してください。
この辺はいつもと同じです。int WINAPI WinMain(HINSTANCE hCurInst, HINSTANCE hPrevInst, LPSTR lpsCmdLine, int nCmdShow){ MSG msg; if (!InitApp(hCurInst)) return FALSE; if (!InitInstance(hCurInst, nCmdShow)) return FALSE; while (GetMessage(&msg, NULL, 0, 0)) { TranslateMessage(&msg); DispatchMessage(&msg); } return msg.wParam;}//ウィンドウ・クラスの登録ATOM InitApp(HINSTANCE hInst){ WNDCLASSEX wc; wc.cbSize = sizeof(WNDCLASSEX); wc.style = CS_HREDRAW | CS_VREDRAW; wc.lpfnWndProc = WndProc; //プロシージャ名 wc.cbClsExtra = 0; wc.cbWndExtra = 0; wc.hInstance = hInst;//インスタンス wc.hIcon = LoadIcon(NULL, IDI_APPLICATION); wc.hCursor = LoadCursor(NULL, IDC_ARROW); wc.hbrBackground = (HBRUSH)GetStockObject(WHITE_BRUSH); wc.lpszMenuName = "MYMENU"; //メニュー名 wc.lpszClassName = (LPCSTR)szClassName; wc.hIconSm = LoadIcon(NULL, IDI_APPLICATION); return (RegisterClassEx(&wc));}//ウィンドウの生成BOOL InitInstance(HINSTANCE hInst, int nCmdShow){ HWND hWnd; hWnd = CreateWindow(szClassName, "猫でもわかるIME", //タイトルバーにこの名前が表示されます WS_OVERLAPPEDWINDOW, //ウィンドウの種類 CW_USEDEFAULT, //X座標 CW_USEDEFAULT, //Y座標 CW_USEDEFAULT, //幅 CW_USEDEFAULT, //高さ NULL, //親ウィンドウのハンドル、親を作るときはNULL NULL, //メニューハンドル、クラスメニューを使うときはNULL hInst, //インスタンスハンドル NULL); if (!hWnd) return FALSE; ShowWindow(hWnd, nCmdShow); UpdateWindow(hWnd); return TRUE;}
親ウィンドウのプロシージャです。//ウィンドウプロシージャLRESULT CALLBACK WndProc(HWND hWnd, UINT msg, WPARAM wp, LPARAM lp){ int id; static HWND hEdit; HINSTANCE hInst; static HKL hKl; REGISTERWORD rw; char szBuf[256] = "", *lpszText; HGLOBAL hMem; DWORD dwStart, dwEnd, dwLen; DWORD i; switch (msg) { case WM_CREATE: hInst = (HINSTANCE)(((CREATESTRUCT *)lp)->hInstance); hEdit = CreateWindowEx(0, "Edit", "", WS_CHILD | WS_VISIBLE | WS_BORDER | ES_MULTILINE | ES_WANTRETURN, 0, 0, 0, 0, hWnd, (HMENU)ID_EDIT, hInst, NULL); SetFocus(hEdit); OrgEditProc = (WNDPROC)GetWindowLong(hEdit, GWL_WNDPROC); SetWindowLong(hEdit, GWL_WNDPROC, (LONG)NewEditProc); hKl = GetKeyboardLayout(0); break; case WM_SIZE: MoveWindow(hEdit, 0, 0, LOWORD(lp), HIWORD(lp), TRUE); break; case WM_COMMAND: switch (LOWORD(wp)) { case IDM_END: SendMessage(hWnd, WM_CLOSE, 0, 0); break; case IDM_IMEDLG: ImmConfigureIME(hKl, hEdit, IME_CONFIG_GENERAL, NULL); SetFocus(hEdit); break; case IDM_REGIST: SendMessage(hEdit, EM_GETSEL, (WPARAM)&dwStart, (LPARAM)&dwEnd); if (dwStart != dwEnd) { dwLen = SendMessage(hEdit, WM_GETTEXTLENGTH, 0, 0); hMem = GlobalAlloc(GHND, dwLen + 1); if (hMem == NULL) { MessageBox(hWnd, "メモリを確保できません", "Error", MB_OK); return 0; } lpszText = (char *)GlobalLock(hMem); GetWindowText(hEdit, lpszText, dwLen + 1); SendMessage(hEdit, EM_GETSEL, (WPARAM)&dwStart, (LPARAM)&dwEnd); for (i = 0; i<= dwEnd - dwStart - 1; i++) { szBuf[i] = lpszText[dwStart + i]; } GlobalUnlock(hMem); GlobalFree(hMem); } rw.lpReading = NULL; rw.lpWord = szBuf; ImmConfigureIME(hKl, hEdit, IME_CONFIG_REGISTERWORD, &rw); SetFocus(hEdit); break; } break; case WM_CLOSE: id = MessageBox(hWnd, "終了してもよいですか", "終了確認", MB_YESNO | MB_ICONQUESTION); if (id == IDYES) { SetWindowLong(hEdit, GWL_WNDPROC, (LONG)OrgEditProc); DestroyWindow(hEdit); DestroyWindow(hWnd); } break; case WM_DESTROY: PostQuitMessage(0); break; default: return (DefWindowProc(hWnd, msg, wp, lp)); } return 0;}
WM_CREATEメッセージが来たら、エディットコントロールを作ってこれをサブクラス化しておきます。また、入力ロケール識別子をスタティック変数に取得しておきます。
idThreadには、スレッド識別子を指定します。現在のスレッドであれば0を指定します。HKL GetKeyboardLayout( DWORD idThread);
戻り値のhKLの上位ワード値にはキーボードのレイアウトに対するデバイスハンドル、下位ワード値には言語識別子が入ります。
WM_SIZEメッセージが来たら、エディットコントロールの位置大きさを調整して親のクライアント領域に合わせます。
メニューからIDM_IMEDLGが選択されたら、ImmConfigureIME関数でプロパティダイアログボックスを出します。ダイアログが去ったあとフォーカスが失われるので、SetFocus関数でエディットコントロールにフォーカスをセットします。
IDM_REGISTが選択されたら、エディットコントロールにEM_GETSELメッセージを送って選択文字列の位置を取得します。この位置を元に選択された文字列をszBufにコピーします。この時位置関係が錯覚を起こしやすいので簡単な例を作って実験しながらプログラムを書くとわかりやすいです。選択文字列をREGISTERWORD構造体のlpWordメンバに指定してImmConfigureIME関数を呼んでいます。
プログラム終了時にはサブクラス化を解除しています。
サブクラス化されたエディットコントロールのプロシージャです。LRESULT CALLBACK NewEditProc(HWND hWnd, UINT msg, WPARAM wp, LPARAM lp){ HIMC hImc; switch (msg) { case WM_CHAR: if (wp == (WPARAM)0x1b) { hImc = ImmGetContext(hWnd); if (ImmGetOpenStatus(hImc)) { ImmSetOpenStatus(hImc, FALSE); } else { ImmSetOpenStatus(hImc, TRUE); } if (ImmReleaseContext(hWnd, hImc) == 0) MessageBox(hWnd, "ImmReleaseContext Error", "Error", MB_OK); return 0; } default: break; } return CallWindowProc(OrgEditProc, hWnd, msg, wp, lp);}
エスケープキーが押されたら、IMEのON, OFFを切り替えています
今回は比較的簡単なプログラムでした。IMEのON, OFFをユーザーの指定したキーで切り替えられるように工夫してみてください。
Update 05/Jul/2000 By Y.Kumei
[8]ページ先頭