「cocos2d for iPhone」(以下、cocos2d)は、iOS(iPhone/iPod touch/iPad)やMac OS X向けの2Dゲームやグラフィカルなインタラクティブアプリを開発するための、フレームワークです。物理エンジンの「Box2d」「Chipmunk」を持ち、サウンドエンジンも搭載しています。
cocos2dを使うと、スプライト・シーン・トランジション・アクション・メニュー・タッチ操作・加速度センサなどの機能を利用して、ゲームアプリやインタラクティブ系のアプリを素早く作ることが可能です。
本稿では、cocos2dの概要と基礎的な使い方を紹介します。
cocos2dには、以下のような特徴があります。
使いやすいテンプレートやObjective-Cのクラスライブラリがそろっています。サンプルコードも充実しています。詳細は、本稿で解説します。
OpenGL ES 1.1ベースなので、動作が高速です。面倒なパフォーマンスチューニングを肩代わりしてくれます。
MITライセンスのオープンソースで無料ですが、使ってみて気に入った方は、寄付できます。
情報を交換できるコミュニティやTwitterに日本語のファンアカウントがあります。
App Storeに並んでいる1500本以上のアプリが、cocos2dを使って構築されています。例えば、「Zombie Farm」「Trainyard」といったベストセラーゲームも、cocos2dを使って構築されています。
cocos2dを使ってiPhoneアプリを作るための準備をしましょう。
まず、iOS SDKのインストールが必要です。まだの方は、「iOS Dev Center - Apple Developer」でSDKをダウンロードし、インストールしてください。

また、作ったアプリをiPhone実機にインストールしたり、App Storeにアップロードしたりするためには、「iOS Developer Program」への加入が必要です(年間$99の支払い)。

「Download | cocos2d for iPhone」からcocos2dをダウンロードしましょう。2011年2月現在の最新版は「cocos2d-iphone-0.99.5.tar.gz」です。

ダウンロードが完了したら、ファイルをFinder上でダブルクリックして解凍しましょう。

解凍したときに作成されるフォルダ「cocos2d-iphone-0.99.5」を開き、その中の「cocos2d-ios.xcodeproj」ファイルをダブルクリックしましょう。

Xcodeが起動します。

このプロジェクトには、cocos2dのサンプルが多数含まれています。

これらのサンプルを実行してcocos2dで実現できることを確認し、対応するソースコードを読んで使い方を確認し、部分的に書き換えていろいろと試していくことが、cocos2dの使い方を学ぶ一番良い方法だと思います。
ここで1つ、サンプルコードを実行してみましょう。「ActionTest」を選択します。

[ビルド]→[ビルドと実行]を選択します。

シミュレータが起動し、サンプルアプリが動作します。

ちなみに、今起動した「ActionsTest」のソースコードは、testsグループの中に入っています。

cocos2dでは、Xcode向けのプロジェクトテンプレートが用意されています。このテンプレートを使うことで、cocos2dを使ったアプリのプロジェクトを素早く作成できるようになります。
早速インストールしてみましょう。まずはターミナルを起動します。

「cd」と打ち込みます。

Finderからターミナルのウィンドウへ、「cocos2d-iphone-0.99.5」フォルダをドラッグ&ドロップします。

フォルダの場所が自動入力されるので、そのままエンターキーを押します。

その後、以下のように入力し、エンターを押すと、テンプレートがインストールされます。
% sudo ./install-templates.shインストールされたテンプレートを早速使ってみましょう。Xcodeを起動して、[ファイル]→[新規プロジェクト]を選択します。

左側の一覧から「cocos2d 0.99.5」を選択し、右側の一覧から「cocos2d Application」を選択します。右下の[選択]ボタンをクリックします。

プロジェクトの保存場所と、名前を聞かれます。ここでは「TestGame」とします。右下の[保存]ボタンをクリックします。

プロジェクトが作成されました。

[ビルド]→[ビルドと実行]を選択します。シミュレータが起動し、画面に「Hello World」と表示しました。

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