NetBeans IDEとは、Javaプログラム向けの統合開発環境です。オープンソース・ライセンスで公開されていて、デスクトップアプリケーション、エンタープライズ・アプリケーション、Webアプリケーション、携帯電話向けアプリケーションの開発に対応しています。
もともとはJavaプログラムを開発するためのプラットフォームでしたが、最新版の6ではRubyやC/C++プログラムの開発もできます。
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筆者がNetBeansを知ったのは、2003年5月ごろまでさかのぼることができます。OpenOffice開発関係のドキュメントを読んでいたときに、NetBeansを使った開発方法が紹介されていて、その中にあった「エンジニアたる者、効率よく開発しなければ、時代遅れの勇者になってしまうよ」という一文を読んでから、EclipseやNetBeansなどのGUI開発環境を利用してJavaプログラムを開発するようになった記憶があります。
本稿では、前後編に分かれて、2008年2月にリリースされたNetBeans 6.0.1 マルチリンガル版について紹介します。
NetBeans自体はJavaで記述されたGUIアプリケーションで、実行にはJava SEのSDKが必要です。Java SEのSDKは、Windows、Linux、Mac OS X、Solarisといった多くのOSで使うことができますから、NetBeansもこれらのOSで利用できます。
NetBeansのライセンスは、「GPLv2 with Classpath Exception」と「COMMON DEVELOPMENT AND DISTRIBUTION LICENSE(CDDL) Version 1.0」のデュアルライセンスとなっています。
ただし、「SOAパック」に入っている「Jgo 5.1」、「UMLパック」に入っている「Tom Sawyer 6.0」、「モビリティパック」に入っている「Sun Java Wireless Toolkit 2.5.2 for CLDC」を使う場合には、それぞれのソフトウェアライセンスに同意する必要があります。インストール先に同梱されている「LICENSE.txt」「THIRDPARTYLICENSE.txt」といったファイルに詳細は記述されています。
繰り返しますが本稿では、2008年2月現在最新版のNetBeans 6.0.1のマルチリンガル版を使っています。
NetBeans 6.0で日本語版を使うためには、言語パックを適用する必要があるのに比べて、NetBeans 6.0.1のマルチリンガル版ではそういった作業が必要なく、簡単にインストールができるからです。
ちなみに、NetBeans 6.0のリリースノートによると、次の機能が追加、または強化されたとのことです。本稿では、この中からいくつかの機能を紹介します。
特徴をいくつか紹介する前に、NetBeansとGlassFishとの関係について簡単に紹介しておきます。
「GlassFish」は、オープンソースのJava EEアプリケーションサーバです。WebアプリケーションやJava EEの開発をするためには、Webコンテナ、サーブレット/JSPコンテナ、EJBコンテナなどが必要ですが、GlassFishにはこれらのコンテナが含まれています。
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NetBeansにはGlassFish同梱版がありますから、それをインストールすると、WebアプリケーションやJava EEの開発がすぐに開始できます。NetBeansは昔からインストールしたらすぐにWebアプリケーションを開発できる環境になるという印象がありましたが、その方針はいまも受け継がれています。
ただし、筆者の場合は、先にGlassFishの最新版をインストールしてあったので、NetBeansに同梱されているGlassFishは使わないことにしました。同梱版を使うと、インストールは簡単ですし、セキュリティアップデートなども簡単にできますが、せっかく用意してある環境を捨ててまで、同梱版を使う必要もありません。いろいろな選択肢があるということもオープンソースのいいところです。
なお、同梱版では後で説明するGlassFishのupdatetoolがうまく動作しなかったので、updatetoolを使いたい場合は筆者のように別途インストールするといいでしょう。
本稿では、後編でGlassFishを使ったJRubyのWebアプリケーションを作るので、GlassFishも最初にセットアップしておきます。
GlassFishのWebサイトで公開されているクイックスタートガイドを見ると、インストールは簡単にできます。
筆者の場合は、執筆時点での最新版であるglassfish-installer-v2ur1-b09d-windows-ml.jarをダウンロードして、あらかじめ作成しておいた「C:\application」ディレクトリへ保存し、コマンドプロンプトを起動して、下記のようにインストールをしています。
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JDKはJava SE SDK Version 6 update 4をデフォルトインストールした環境を用意しました。AntはGlassFishに同梱されているものを使えばいいので、わざわざ用意する必要はありません。
ちなみに、今回はWindows XP へインストールしましたが、GlassFishを動作させると何度か「セキュリティの警告」が出ました。ネットワークのポートがいくつか開くからなので、その都度、「ブロックを解除する」をクリックしています。
なお、GlassFishに配備されたWebアプリケーションや、後編で解説するJRubyでJava DBを使えるように、「C:\application\glassfish\lib」と「C:\application\glassfish\jruby\jruby-1_0_3\jruby-1.0.3\lib」へ「derbyclient.jar」をコピーしておきました。
GlassFishでは、デフォルトで管理ユーザーとして「admin」が用意されていて、パスワードは「adminadmin」です。4848ポートでは、GlassFishの管理コンソールが動作していて、「http://localhost:4848/login.jsf」からログインできます。8080ポートでは、Webアプリケーションが動作します。
今回はNetBeansの紹介ですから、GlassFishでの設定方法について詳細は説明せずに、先へ進みます。続いて次ページでは、NetBeansのセットアップや便利なGlassFishのモジュールについて、いくつか見ていきましょう。
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