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  • ハマータウンの野郎ども ─学校への反抗・労働への順応 (ちくま学芸文庫)
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ハマータウンの野郎ども ─学校への反抗・労働への順応 (ちくま学芸文庫) 文庫 – 1996/9/1

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イギリスの中等学校を卒業し、すぐに就職する労働階級の生徒のなかで、「荒れている」「落ちこぼれ」の少年たち=『野郎ども』。彼らのいだく学校・職業観はいかなるものか?学校はどのような進路指導をしているのか?彼らの形づくる反学校の文化―自律性と創造性の点で、たてまえの文化とはっきり一線を画している独自の文化―を生活誌的な記述によって詳細にたどり、現実を鋭く見抜く洞察力をもちながらも、労働階級の文化が既存の社会体制を再生産してしまう逆説的な仕組みに光をあてる。学校教育と労働が複雑に絡み合う結び目を解きほぐす、先駆的な文化批評の試み。
  1. ISBN-10
    4480082964
  2. ISBN-13
    978-4480082961
  3. 出版社
    筑摩書房
  4. 発売日
    1996/9/1
  5. 言語
    日本語
  6. 寸法
    14.8 x 10.5 x 1.5 cm
  7. 本の長さ
    480ページ

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出版社より

70年代 イギリス  不良 過酷な人生 不利な立場 文化 社会構造 再生産 階級のエスノグラフィ 金字塔 岸政彦 ブレイディみかこ 英国社会 中学教育 労働者階級 lads アティテュード 示唆
私たちの人生は本当に 「自己責任」なのか? 階級社会に抗うことはできないのか?

笑うことさえできりゃ、ふざけて笑えりゃあね、どんなことがあったってなんとか切りぬけられるもんさ。これは絶対にまちがいないな。……ときどきは大笑いしないと、きっと頭が変になっちまうよ。(第一章 対抗文化の諸相)

商品の説明

出版社からのコメント

70年代イギリス、落ちこぼれとされる“野郎ども"の反抗は、逆説的に格差を再生産してしまう――彼らひとりひとりの生の声を聞き取り、教育・労働・階級社会の構造を分析。社会の前で個人の意思は無力なのか? それとも、すべては自己責任なのか? 社会学の必読書。

【目次】
序章 「落ちこぼれ」の文化
第1章 対抗文化の諸相
第2章 対抗文化の重層構造
第3章 教室から工場へ
第4章 洞察の光
第5章 制約の影
第6章 イデオロギーの役割
第7章 文化と再生産の理論のために
第8章 月曜の朝の憂鬱と希望

著者について

ポール・ウィリス(Paul Willis):イギリス・バーミンガム大学現代文化研究センター研究員、ウォルバーハンプトン・ポリテクニック客員教授を歴任。2010年よりプリンストン大学教授。本書のほかに『プロフェイン・カルチャー』『ユース・レヴュー』などの著作がある。

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ポ−ル・ウィリス
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上位レビュー、対象国: 日本

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  • 2019年1月22日に日本でレビュー済み
    フォーマット: 文庫Amazonで購入
    私はいわゆる「ハマダー」です。ハマダーとはダウンタウンの浜田さんのような服装を好んで着る人々を指すのですがハマダーたちについて書いてある本だと勘違いして購入してしまいました。
    がっかりしながらも読みましたが内容自体はとても興味深かったので星5です。
    69人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2017年1月24日に日本でレビュー済み
    フォーマット: 文庫
    David Bowieの“ALL THE YOUNG DUDES(すべての若き野郎ども)”のように、いわゆる不良文化に深く切り込んだ視点が展開されているのかと思って手に取ったのだけど、全く違ってた。
    そもそも原題を改めて見ると“LEARNING TO LABOUR(労働について学ぶ)”であって、これでわかるようにこの本は「不良文化」を論じたものではない。私と同じ誤解を生じさせないように、これからこの本を読む方へ、まずこのことを先に伝えておきたい。(ちなみに「野郎ども」を指す原語はDUDEではなく、LAD。)

    これが描かれたのは1970年代のイギリス。
    著者のポール・ウィリスは先に述べたように「反学校文化=不良文化」に注目してこの本を書き始めたというよりも、「学校や権威に徹底的に反発する『野郎ども』が、自ら進んで単純労務労働を職業に選択して社会に組み込まれるのはなぜ?」という点に注目して、そこに同質性や関係性を見出そうとしたのが出発点というほうが正しい。

    著者が展開する「なぜ?」の解明への展開があまりに劇的でもあり、それをレビューでオープンにしたい衝動に駆られるが、ここにズラズラっと書いてしまうのはやはりNG。でもサワリをちょこっと提示してもネタ全体をばらすことにはならないと思うので、少しだけ…

    ①「『野郎ども』は学校で勉強をするのを忌避し馬鹿にしているが、自分たちはパブやケンカなどでの「社会勉強」のほうが重要と考えているのであって、むしろ学校の机での勉強しかしていない奴よりかはよっぽど社会のしくみに長け、人間としては上である」
    ②「勉強とか、先生の言うことばっかり聞くことで、青春という人生の大切な時間が失われるなんて馬鹿げている。青春時代こそ自分のやりたいように生きるべき。」
    ③「確かに生きるにはお金は必要。でも学校で勉強して就職したとしても、生涯で得られる金なんてたかが知れてる。俺らは必要ならばバイトするし、場合によっちゃパクってすませてOKだろ?」
    著者の野郎どもへの周到なインタビューによって、彼らの「理論」が生身の言葉を媒介に、手触り感のある内容で浮かび上がっている。

    さらに著者は、野郎どもの反抗の裏に潜む、いわゆる“裏ルール”も読み取り、法則性を見出そうとする。
    「野郎どもは学校の体制や教師に反発するけど、学校に行くこと自体は否定しない。いや、学校へは仲間に会えることや面白いネタがあることなどにより、むしろ喜んで通ってないか?」
    「単純労務作業は、普通ならばだれでも嫌がる。仕事はキツイのに給料や社会的地位は低い。でも、それをこなせるやつだからこそ、『真の男』と認められるのだと思っていないか?」
    この表と裏の両面を読み解くことで、彼らは社会からはみ出し者として排除されることはなく、逆に肉体労働といった現代人が忌避する労働に「積極的に」参画していく者として、資本主義社会で重宝され貴重化するという不可思議な現象を立証するのである。ユニークで面白い論理展開でしょ?

    しかし、著者が若者文化(不良文化)に肩入れしようとする偏った者でなく、冷徹な目をもった社会学者であることを思い知るのは、野郎どもが自ら肉体労働を「自主的選択」したその後についての記述だ。
    (以下P266からの引用)「かつてはおしなべて…深く考えることなく工場の門をくぐった。そうして今日、明日と働き、いつしか三十年が経ってしまうのである。真の機会をのがしたり、もともと機会を機会と理解できなかったこと、逆に好機到来とばかりに選んだ道がまやかしにすぎなかったこと、こうした苦い思いが、労働者仲間のあいだで工場に入る前の人生についての神話を生みだす。」

    やはり反学校文化を楽観的に見ることはできないということだけど、未熟な選択をした野郎どもにすべての罪を負わせるのは意味がない。
    かといって学校や社会の制度に矛盾があるとして、それらにすべての原因を求めるのも、近視眼的だ。
    何が悪いとか、誰が間違ってるとか、そんな単純な話でない。
    マルクスによると、人間が社会関係を完全にコントロールする社会の存立が、すなわち人間が歴史を創造できる段階に達したと見なせるということで、現代はまだそこには達していないということだ。
    この本の読了で、今の私たちはある意味原始人のように、(自分たちが作ったはずの)社会に振り回され、自分のしたいようにしてるように見えて、実は釈迦とから見た孫悟空のように、何かに「操られている」、という歯噛みするような現実を改めて知らされたという感じだ。

    White people go to school
    Where they teach you how to be thick
    …White riot - I wanna riot
    White riot - a riot of my own (The Clash “WHITE RIOT”)
    学校という“檻”なんかよりもっと巨大なものが取り巻いている。
    1つ目の檻が見えたからそれを突き破ったら、すぐ外側に次の檻がある…
    「野郎ども」の反抗やあがきを私たちは簡単に笑い飛ばせない。なぜならしょせん同じ穴の貉だから。
    43人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2021年2月26日に日本でレビュー済み
    フォーマット: 文庫Amazonで購入
    文字が小さいので読むのに根気が要ります。内容は面白いです。
    4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2022年12月3日に日本でレビュー済み
    フォーマット: 文庫Amazonで購入
    イギリスの階級社会の実態に驚く。「野郎ども」は日本なら、ただの不良少年に過ぎないが、著者はシンパシーを感じているのには違和感がある。また1977年刊行なので性差別や人種差別の意識に若干の肯定観があるようにも見える。現在のイギリスの衰退は「野郎ども」の成れの果てが作り出しているのだろう。分断を深めさせた要因だと感じるし、結局EU離脱の原動力となったのだろう。
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2020年12月30日に日本でレビュー済み
    フォーマット: 文庫
    100分de名著『ディスタンクシオン』で紹介されていたので読みました。
    Eテレを見て、少しだけ前提知識がある中で読んだので、理論的な部分は難しかったですが
    筆者の一番伝えたいところは理解したつもりです・・・

    教員になったばかりのころは
    学校の指導で生徒を変容させられるという理想を抱いていたけれど、
    しばらくすると、どうにもならない生徒や、理解できない保護者に面食らい
    学校教育でできる限界を感じるようになりました。

    時代や文化の背景は違うけれど、この本で出てくる具体例と
    似たような状況は今の日本にもあります。

    生徒のそれまでの履歴や、社会的背景も視野に入れて
    学校の教員はその立場でできることをするしかないのだなと改めて認識しました。

    有名な書籍とのことですが、学生時代に知ることはなかった自分の無知を恥じています。
    教員になる前に読みたかった一冊です。
    (もちろん教員になってから読んでも価値はありますが)
    41人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2024年2月25日に日本でレビュー済み
    フォーマット: 文庫
    日本のヤンキーとも違う感じがする、日本では本人の努力と意思で上に行く人間がいるが
    階級社会だとそれぞれの階級に誇りをもって(いい意味でも悪い意味でも)人生を過ごしているのが
    わかる。
    第二次大戦時でもイギリスの労働者階級はストなどをやっていたが少なくとも日本では考えられないだろう。
    完全に階級によって社会が分断されてしまっているということがどういう事かと分からせてくれる異色の
    ルポルタージュである。
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2011年11月18日に日本でレビュー済み
    フォーマット: 文庫Amazonで購入
    イギリスの貧困家庭に生まれた子が、経済的な制約ゆえ教育的な環境に恵まれず、保護者と同じようなレベルで生活するようになるという階層の再生産を浮き彫りにすることに成功したフィールドワークです。学校文化に反抗した彼らが労働社会に順化していく過程が見事に描き出されています。

    日本でもかつては同じサイクルが各地で見られました。しかし、現在はドロップアウトした子どもさえ救えません。社会全体の体力が無くなっている証拠だと思います。
    44人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2019年8月25日に日本でレビュー済み
    フォーマット: 文庫
     70年代のイギリスの不良少年達への取材から、なぜ学校で不良として過ごした若者達が卒業後の労働では適応するのかを考察する。

     かなり有名な本で、難解な考察に半分くらい分からなかったが、重要なことが書かれていることは分かる。
     イギリスの不良達は学校の文化には反抗的で勉強するというだけでなく資格を取ることすら否定的だ。仕事は現場で覚えられるからいい。現場でやっていくコミュ力などがあるからいいというスタンス。学校で反抗的なことと肉体労働の世界で(ある程度)従順であることは彼らの中では矛盾しないのだ。
     彼らは世間一般的な向上心がなく心配なのだが、ただこの思考はマイナスなだけでなく、彼らが社会に適応する為に身に着けた処世術のようでもある。

     これは世界中にあることのように感じた。日本での関連書籍を読んでいきたい。
    15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
ハマータウンの野郎ども ─学校への反抗・労働への順応 (ちくま学芸文庫)