昨日、京都精華大学の「マンガプロデュース概論」の講義にて、丸山昭氏をお呼びしてのトークが無事終了しました。(写真左)。
手塚治虫先生の思い出、トキワ荘のこと、石森(石ノ森)章太郎先生の「龍神沼」を担当したときの話、水野英子先生を見いだした時の話など、盛りだくさんの内容でした。正直90分ではとても時間が足りず、終わってからも取材に来た共同通信の記者さん相手に3時間、それから京都市内に移動して烏丸御池そばの中華料理屋の座敷で3時間と、マルさんしゃべり続けでした。
今年で79歳になるはずですが、ものすごくお元気で、ちょっとこちらが心配になるくらいでしたが、丸山さんとしては、「自分の残った人生は“語り部”に徹する」と決めておられるらしく、人前で話す機会があれば、体力の続く限り断らない方針でいるとのこと。
こちらとしても、1950年代のマンガ界の話や、トキワ荘関係者が高齢に達しておられるため、丸山さんのこの姿勢はまことにありがたい限りです。
お話の中で、一番心に残ったのは石森先生の『龍神沼』を担当したときのことです。この作品は石森先生の名著『少年のためのマンガ家入門』で自作解説のテキストとして収録されていることで有名になった作品なんですが、少女マンガの歴史的名作として評価が定まった作品でもあります。
この作品は、石森先生がデビュー前から構想を温めていたものらしく、丸山さんに「ぜひ描かせてくれ」と懇願していたものだそうです。その際、「この作品にはページ数がいる、できるだけ多くのページが欲しい」と言うので、丸山さんは他のページ担当の編集者に頭を下げて48ページの紙幅を確保したとか。これは50年代の児童雑誌としては、常識を超えるページ数でした(普通は6ページから10ページ、最大で16ページが限界だったという)。
今なら「連載にすればいいじゃないか」と思いますが、まだ週刊誌のない時代、連載といっても一話完結式が普通で、連続ストーリーマンガは、手塚先生以外、ほとんど例のなかった時代です。
丸山さんは、「担当として僕がやったことは何もない。内容は、全部石森さんにお任せだったから」とおっしゃいますが、その作品を世に出すために、前例のないページ数を提供したという重要な仕事をされたわけです。
作家に描きたいものがあったとしても、作品掲載に見合う「場」がなければ、そもそも作品は世に出ないわけです。そして、場を提供することは編集者にしかできません。当時、マンガ1本に48ページを提供するということは、雑誌のその号の命運をその作品に託すということですから、万一これが失敗作だったら作家はもちろん、担当編集者の責任問題にもなります。これを描いた石森先生も石森先生ですが、任せたマルさんもマルさんでしょう。もちろん丸山さんは、石森章太郎の才能を知り抜いていたからこそ、この判断ができたということです。
丸山さんも、内心不安はあったそうですが、できあがった作品のクライマックスで、沼から現れた竜が天に飛翔する見開きの大ゴマを見て、背筋に鳥肌が立ったそうです。これと見込んだ作家が期待を上回る作品を仕上げてくることほど、編集者冥利に尽きることはないでしょう。
丸山昭氏のトークは、これから編集を加えて映像として大学のサーバーにアップする予定になっています。もしかすると秋になるかもしれませんが、掲載が決まったらここにリンクを張ります(サーバーの回線の問題もあるので、youtubeに載せることになるかもしれません)。
なお次回は6月30日に、元「少女コミック」編集者で「プチフラワー」創刊編集長の山本順也氏をお招きする予定。これもトークをネットにあげると思いますのでお楽しみに。
●夏コミ当選しました。
えー、昨日、自宅に夏コミの当選書類が届いたようなのでお知らせします。アドレスは、
16日 西館 さ-09b
です。現在「マヴォ」第二号は鋭意編集中ですので、追って続報入れます。
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