※本稿は、ビル・プランケット『SHO-TIME 3.0 大谷翔平 新天地でつかんだワールドシリーズ初制覇』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
新しいチームメイト一同からの信頼を集めたことにより、大谷はスキャンダルのせいでシーズンに向けた準備がおろそかになることはなかった。
「あの男は、クラブハウスで本当に見事なふるまいをしているよ」
ベテラン内野手のミゲル・ロハスが証言した。
「つねに本物のプロフェッショナルとして動いていて、冷静で、身の回りのことをいつもきちんとこなしているよ。ショウヘイが実際のところ、どう感じているかをオレから話すことはできないけど。1人のチームメイトとして、あいつがどれほどの試練に直面しているのかは知っている。本当に過酷だと思う。心から同情するしかないよ。できることは、ただそばで支えてあげることだけだよ」
この任務の大部分を負ったのが、間違いなく通訳のウィル・アイアトンである。もともとドジャースの職員だった同氏だが、水原一平の後任となった。
選手、コーチ、スタッフ全体から好かれているこの男は、ドジャースの通訳として2016年に前田健太投手の1年目と同時に入団した。
東京生まれで、アイアトンは15歳のときに家族とともにアメリカへ移住し、オクシデンタル大学とメンロー大学で野球をプレーし、2012年に後者の大学で卒業総代スピーチも行っている。
テキサス・レンジャーズとニューヨーク・ヤンキースでのインターンを経て、彼は前田の通訳としてドジャース入りし、早々に「ウィル・ザ・スリル」の異名をつけられた。打撃練習中やダグアウトでのダンスなどが、チームの雰囲気を盛り上げたと高く評価されたのだ。
前田は2019シーズン終了後にドジャースを離れてミネソタ・ツインズに移籍したが、アイアトンはそのままドジャースに残り、オクラホマシティの3Aで選手育成コーチとして活動するようになった。