古来、特別格の宮とされ、神社本庁の本宗であり、
「日本国民の総氏神」とされる伊勢神宮。
正式名称は「神宮」だけですが、他の神宮と区別するために、
「伊勢」の地名を冠して伊勢神宮と通称されています。
他の多くの神社が朱塗りの建物や瓦屋根に変わっていった中で、
伊勢神宮は神明造という古代の建築様式を受け継いでいます。
これは弥生時代の高床倉庫が起源で、
神へのお供え物をする特別な建物だったといわれています。
そんな伊勢神宮では、内宮と外宮の2つの正宮の正殿、
14の別宮の全ての社殿を造り替えて神座を遷す、
「式年遷宮」が原則として20年ごとに行われています。
このとき、宝殿外幣殿、鳥居、御垣、御饌殿など計65棟の殿舎のほか、
714種1576点の御装束神宝、宇治橋なども造り替えられます。
神宮式年遷宮は、飛鳥時代に天武天皇が定め、
持統天皇4年（690年）に第1回が行われたと記録されています。
その後、戦国時代の120年以上に及ぶ中断や、
幾度かの延期などはあったものの、
2013年の第62回式年遷宮まで、
およそ1300年にわたってこの伝統は続いています。
この式年遷宮に、ヨーロッパを代表する建築家であり、
1998年には「建築界のノーベル賞」と称される、
プリツカー賞を受賞しているイタリアのレンツォ・ピアノ氏（88）が感動。
以前、現地紙のインタビューで以下のように語っています。
「私が60歳になった時、もうずいぶん前のことですが、
妻と日本へ旅行に行き、伊勢神宮を訪れました。
伊勢神宮がなぜ重要な場所かご存知ですか？
それは20年ごとに破壊され、そして作り直されるからです。
東洋において「永遠」とは、絶えず続けることなのです。
若者たちは20歳で神宮にやって来て、その作り方を見て学び、
40歳でそれを再建し、そして20歳の者たちに説明するために留まります。
これは人生の良いメタファーです。
まず学び、次に行い、そして教える。
地球を救うのは若者たちです。
若者たちの存在は我々にとって、
私たちが決して見ることのない世界へ送るメッセージです。
彼らが私たちの肩に乗るのではなく、私たちが彼らの肩に乗って、
私たちが生きることのできない物事を垣間見るのです」ピアノ氏のこの言葉に対し、様々な反応が寄せられていました。
その一部をご紹介しますので、ご覧ください。
「こんな国が実在するのか…？」 日本の聖地で行われた神事の光景が神秘的すぎると話題に
翻訳元
■■■■ 要は、知識と責任を伝達するという考えだね。
+18■ ピアノ氏のこの言葉は前にも読んだことがあるけど、
そのシンプルさと表現力に魅了されたよ。ありがとう！
何回でも読み返す価値があるね。
この崇高な『立ち位置』や役割を受け入れられずに迷子になる人が、
世の中にはどれだけ多いことか。
+4 ■ 重要な建物を全く同じように継続的に再建するっていう考え方は、
ピアノ氏が言うように東洋にしかないんだ。
僕的には、この点について考えるのは大事だと思う。
西洋では継続的に再建することはなくて、
古い建物を毎回新しい建物に置き換えるからね。
+2 ■ これはかなりためになる話だなぁ。
知識がどんどん伝承されていくのが素晴らしい。
+4 ■ これこそ賢者の言葉だ……。
ヨーロッパでも日本のように高齢者を年寄りじゃなく、
賢者として考えられるようになったら……。
その時やっと色々と大きく前進したってことになる。
早くそうなるといいな。
+17 ■ ピアノさんは素晴らしいよ。
ただ、日本では、というか一般的に東洋では、
時間の考え方が線形（一直線）じゃなくて、循環的なんだ。
日本という国は僕にとって啓示だったし、
明日の朝にでも戻りたいくらいだけど、
僕の精神構造や心理的な枠組みを根本的に変えない限り、
20年ごとにシスティーナ礼拝堂を作り直すっていう考えは、
ちょっと共有できそうにないかな。
注意点として、これはどっちが良いとか悪いとかじゃなくて、
多様性についての話なんだ。
僕は日本の価値観を評価し、尊敬し、尊重してるよ。
+10 ■ 以前、伊勢神宮で、
「なぜお寺の横にあの空き地があるんですか？」と尋ねたら、
「定期的に社は壊すのではなく解体されて、
必要な部品を交換しながらその隣で組み直されるから」、
という答えが返ってきたよ。
しかも釘やネジは使わずにだ。
+36 建築家■ 素晴らしい考えだけど、若者が礼儀正しく、
敬意を払う日本でしか通用しないね。
もしここで実行してみたら、
子どもや孫たちが俺たちをどう貶めるか分かるよ……。
■ 日本人は考え方が僕らとはまるで違うな。
永遠というものは実際には存在しない。
だからヨーロッパ人にとっては難解だけど、
それでも僕らは「永遠」という言葉をよく使うよね。
+7 「欧米人には難解だった」 BBCの『もののけ姫』特集記事が海外で大反響■ 最高に高貴で先見の明がある文化にふさわしい、
未来へのビジョンだと言えるね！素晴らしい。
■ チベットの僧侶たちも同じことをするんだよ。
彼らはグループで何週間もかけて、
床に完璧な対称性を持つ、素晴らしい色のマンダラを作る。
そして完成したらほうきで全部掃いて、また最初から始めるんだ。
彼らにとってこの行為は、たとえ完璧なものであっても、
物質的なものに執着してはいけないということを意味する。
決して、また始めることをやめないってことだね……。
+4 ■ 俺たちは、知識を未来の世代に伝えるために生まれて生きるんだ……。
これが生きる目的なんだよ。
+6 ■ 昔は徒弟奉公に行ったもんだ！！
職人の工房があって、僅かなお金で働きに行ったんだ。
バカンス期間に行く人もいれば、
大学の勉強の合間に行く人もいたし、
学校が終わって本職を見つけるまでの間行く人もいた！
■ 日本では、まず学んで、それから壊して、再建するんだね。
人生のメタファーというより、建築家や大工にとって、
決して手持ち無沙汰にならない、働く人生の保証みたいだ。
■ 建築家がエンジニアを愛して哲学に出会うとき、
賢者と呼ばれる存在になるようだ。
+492 「なぜ日本にこんな技術が…」 江戸時代の日本の建築技術が凄まじいと話題に■ つまりは地震の国の文化なんだろう。
日本の広告で一番使われる言葉は「新しい」と「最新」だ。
+4 ■ 今の若者がピラミッドを再建するとは到底思えない……。
パンテオンさえもね……。
幸いなことに、僕らは日本人とは人生観が違うんだ。
■ 日本人はISEを20年ごとに作り直すようだが、
俺は毎年ISSE（経済状況証明書）を作り直さなきゃなんだわ🥲
■ 兵役中に穴を掘らされて、
また穴を埋めさせられた時みたいにちょっと似てる😂
■ 興味深い点は、「作ることと壊すこと」だと思うな。
学ぶため、教えるためには、物事は永続的じゃなくて、
絶え間なく動き続けてなくちゃいけないんだよ。
俺たちはもうそれができなくなってる。
永続性の遺伝子に感染してしまって、
俺たちを人間たらしめているのは不安定さだってことを、
もうすっかり見失っちゃってるんだよ。
+5 ■ 日本人はイタリアを託せる人たちだ。
+2 「日本に街の再建を頼みたい！」 地震頻発のイタリアで日本の耐震技術が話題に■ 10年前に妻と日本に行ったんだ。
日本のアルプスの麓にある白川郷では、
村中の助けを借りて何年かごとに家を建て直すんだ。
釘を使わずに木の板が組み合わされてるんだよね。
（※合掌造りの茅葺き屋根の葺き替えのことか）
■ 日本人は知恵に富んだ人たちだね😉
+5 ■ 私はいつも日本の知恵を高く評価してきた。
彼らの生き方、考え方を支持したい。
だけどこっちでは全てが違う。
結局は教育の違いなんだと思う。
+4■ 世界中で知られてるすごい建築家だけど、
彼にはシンプルさがあって、
それが彼を唯一無二の存在にしている。
+91 ■ こんなことが行われてるなんて全然知らなかったけど、
日本人が特に教えの面で何光年も先を行っているってことは、
間違いなくその通りだって私も思う！！
+4 ■ 伊勢神宮のやり方であれば、
知識やノウハウが失われることはないね。
残念ながら僕たちは多くの分野で、
それらを大部分失ってしまったけれど。
+13 ■ 全面的に賛成！
何年も前には専門の職人っていう存在がいたんだから。
経験と長年の仕事で身につけた人たちで、
彼らがまた若い人たちに伝えて、
その若い人たちもフレッシュで革新的だから、
さらに別の経験を加えて次の世代に伝えることができたんだ。
今では仕事から専門性が奪われて、
職人という存在はもういなくなってしまった。
「案の定日本人か！」 日本の和菓子職人の凄まじい職人技に外国人が驚愕■ 尋常じゃない速さのリニアモーターカー、
肘で場所取りしなくても列に並んで待てる清潔な地下鉄駅、
世界一美味しい寿司を出す東京の魚市場……。
NYとかロンドンなんて目じゃないね……。
日本、伝統と革新が目まぐるしく融合した国だ！
■ 少なくとも今の基準からすると、並外れた深い哲学だね。
ピアノ氏の言葉も素晴らしかった！
+4 ■ 個人的には大聖堂の建設者たちの方が好きだな。
彼らは完成した作品を見ることはないと知っていたのに、
永遠のために、未来の若者のために建てたんだ。
+3 ■ 俺たちからすれば神社って教会のような存在でしょ？
それをたった20年で解体しちゃうとか、
日本人の発想ってスゲーな……。
こういうのはヨーロッパにはない発想だよなぁ。
「テセウスの船」*を思い浮かべたのは俺だけかな？
+3 （*構成要素がすべて交換されたとき、
それは同じものと言えるのか？
という同一性の問題を問う哲学的なパラドックス）
■ 東洋文化は西洋の永遠という概念に疑問を投げかける。
彼らの考え方を理解する鍵は、「無常性」だろうな。
■ この伝統ってあの神社だけであって、
「東洋全体の文化」ってわけじゃないんだよ。
+4 ■ 日本は何においても進んでるな。
特に若者の教育と指導の面でね。
+4「日本ではこれが普通なのか？」 NYT紙が伝える日本の公立小学校のレベルの高さに読者から驚きの声■ 盆栽の原則と同じだ。
盆栽は人間よりも長生きする。
だから次の世代に技術を教えないといけないんだ。
■ 知恵、芸術、文化、国民のための政治の価値……。
世界でもごくわずかな国しか持っていない、
哲学的な理想を日本は備えているな。
■ 東洋文化と僕らの文化の間には、
なんて大きな違いがあるんだろう。
どちらにも良い面と悪い面があると思う。
僕はロマネスク様式やゴシック様式が好きだから、
耐久性のある作品を作るという考えが好きになるんだろう。
日本文化には独自の魅力があるのは否定できない。
解体し、再建し、若者と彼らのアイデアに場所を与える……。
それも茶道が千年もの間、
それ自身に忠実な流派の成果である国でね。
これが多様な文化の驚くべきところだ。
+18 ■ 時折こういった情報を目に出来る。
それこそがSNSの素晴らしい点だと思ったよ……。
シェアしてくれてどうもありがとう。
日本（伊勢神宮）と西欧の対照性に言及するコメントが散見されました。
日本は技術を残そうとし、西欧は建物そのものを残そうとする。
「彼らは完成した作品を見ることはないと知っていたのに、
永遠のために、未来の若者のために建てたんだ。」という意見は、
「永遠のため、未来の若者のために」技術を残す日本との対照性が、
よく表れているように感じました。
- 関連記事
↑皆様の応援が、皆様が考えている以上に励みになります。
