
他者から「すごーい!」と言われたがるのは承認欲求だが、じゃあ、他者に「すごーい!」と言うのはどういう欲求だろうか。
言いようはいろいろあるだろうが、自己心理学風に言うなら理想化自己対象体験、マズロー風に言うなら、一応所属欲求になるだろう。「フレンズ」と呼びたくなる欲求は、もろに所属欲求に該当する。
もちろんこの作品にも、自分に似ているところのあるキャラクターに自己投影することで、承認欲求っぽい気持ち良さを疑似体験できる仕組みはある。かばんちゃんで「○○の叡智!」などと感じるのは、その最たるものだろう。
それにしたって、長所も短所もある者同士が感心しあい、助け合い、フレンズと呼び合うことが、こんなに気持ち良いだなんて! 日頃は自分自身の承認欲求にとらわれている人でも、この作品を観ている時は「すごーい!」や「フレンズ」の充足感を思い出せるんじゃないだろうか。
所属欲求がキュンキュン音を立てるアニメは、今に始まったものではない。たとえば『けいおん!』や『ガルパン』などにもそういう要素は少なからず含まれている。でも、これほどの純度で「すごーい!」や「フレンズ」の充足感を溢れさせている作品は、あまり無いんじゃなかろうか。
今後のストーリー展開はさっぱり読めないけれども、難しい考察は他の人に任せておいて、今は「すごーい!」や「フレンズ」の充足感に酔っぱらっていたいと思う。来週も楽しみにしよう!
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